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ボツといっしょ

1 :木多娘。 :2001/12/30(日) 00:57

くだらない話を、気が向いたときに書いたり書かなかったり。

更新は不定期。つか、遅いです。

2 :木多娘。 :2001/12/30(日) 00:58

とりあえずてきとーに、だらだらと。

3 :木多娘。 :2001/12/30(日) 00:58


――トンネルを抜けるとそこは、不思議の街ではなく、ましてや雪国でもなく、


                                 台風の真っ最中でした――

4 :木多娘。 :2001/12/30(日) 00:59

私の名前は辻希美。
「辻希美」と書いて「つぃののみ」と読むのが真の漢らしいのだけど、
私は別に男でもなければ漢でもないので、まあ、どうでもいい。
とりあえず「のろみ」とか言った奴、ブッコロヌ。
もの凄い勢いで小一時間問い詰めたい。

5 :木多娘。 :2001/12/30(日) 00:59

私を含むモーニング娘。を乗せたバスは高速へ入りトンネルへと差しかかっていた。
何故バスに乗って高速かといえば、説明は面倒なので100%省略するのだが、
多分テレビの企画か何かであろう。別にバトロワやらされるわけじゃない。
というか、昨日仕事が終わった後の帰りの会で飯田さんが今日の企画のことを言
っていたような気もするが、そのとき私は梨華ちゃんの
「せんせえ、昨日の帰りに矢口さんがビックリマンチョコのシールだけ取って
 チョコをゴミ箱に捨ててましたぁ」という告発を聞いて、
「…嗚呼、あのウェハースのサクッとした感触の中で舌の上にとろけるチョコが……」
などともの思いに耽ってしまい、企画の話を聞き逃したのだった。ちょっと反省。

いや、反省だけなら猿でもできると昔の人は言っていた。
そう、私は人間。反省するだけではなく、それを糧にして明日への飛躍を
目指さなければならないのだ。

とりあえずその第一歩として、バッグの中に仕込んでおいたビックリマンチョコを
貪り喰うことにする。

6 :木多娘。 :2001/12/30(日) 01:00

私がその素朴な美味しさに舌鼓を打ち、そしてチョコを無理矢理鼻の頭になすりつけて
さりげない可愛らしさをアッピールしていたところ、何やら横の方からヒソヒソと
話し声が聞こえてきた。

道産子コンビの安倍さんと紺野ちゃんか…。

…つい数ヶ月前までは、それが飯田さんと安倍さんであった。
だがしかし、今現在、道産子コンビといえば安倍−紺野ラインで鉄板なのである。

飯田さんと安倍さんは昔不仲説があったとはいえ、今はもうお互い唯一の
オリメン同期同士、仲睦まじき日々を送っている。それが世間一般の考えだろう。

だが、私は知っている……
安倍さんと飯田さんとの間には決して埋めることのできない溝が、
そして目にこそ見えないが、お互い絶えず火花を散らし合っているような気が
しないでもないわけでも無きにしもあらずということを……

7 :木多娘。 :2001/12/30(日) 01:00

まあ、それも栓の無いこと。今、そのことついて論じたとしても仕方がない。

それよりも2人は何の話をしているのだろう。
ふふ、もしかしてチョコが鼻の上に付いているのにも気付かず
八重歯を駆使して一所懸命食べている私の姿の、あまりに可愛らしさに
ジェラシーを覚えてしまったのかな?

ふぅ…私も罪な女だ…。図らずも未来ある2人の女性を羨望、嫉妬、等々…
それらで渦巻く混沌の海に溺れさせてしまったのだから……。

しょうがない、元はと言えば私の蒔いた種が原因だ。
ここはひとつ、私が2人と和解を――たとえ自分が泥をかぶることになろうとも――して、
この先の不安要素を取り除いておかねばなるまい。
どれ、まずは和解の糸口を見つけるために2人の会話に耳を傾けてみるとしようか。

8 :木多娘。 :2001/12/30(日) 01:00

「…………それで、うちのトイレ、ウォシュレットなんだけどさ……」
「…はぁ……」
「…それに『チャーム』ってボタンと『シャワー』ってボタンがついてるの、うちのは。
 でね、『チャーム』って方はまあ普通にお尻を? それこそ、ど真ん中ットライクッ!
 って感じで直撃してくれるんだけどさ……『シャワー』ってヤツがなんというか…
 背中とお尻の境界線、まさに割れ目と背中の38度線決戦が行われてるところに
 水を当ててくるんだ……」
「…はぁ……」
「なっち、今の部屋に引っ越してからずっと考えてたんだけどね、その『シャワー』?
 一体あれは何のためについてるのか未だにわかんなくて……。普通のポジションから
 もっと後ろに下がって照準を合わそうとしても、もうトイレのフタがあって、
 ライク・ア・背水の陣! 殿、もはやこれまでです! どうかそれがしが敵を
 防いでる間にお逃げください!って感じだしさ…」
「…はぁ……」
「それで、同郷の出身と見込んで……あ、いや、もちろんなっちは天使だからしないよ?
 しないけど……うん、後学のために…『シャワー』の存在意義をコンちゃんに
 教えてもらえないかな〜って……」
「……はぁ……」

…どうやら私の話ではなかったらしい。少しばかり先走りをしてしまったようだ。

フッ、私としたことが……。まあちょうどトンネルに入り、バスの内部を
暗闇が支配したところだ。その闇の中に気恥ずかしさを、そしてやや赤みが差してしまった
表情を紛らわせたとしても、きっと誰も私を責めはしないだろう。

何故かって? 希美だからさ……。

9 :木多娘。 :2001/12/30(日) 01:01

数分後、黒の彼方にトンネルの出口を示す光がポツリと見えた。

トンネルに差しかかった時。
その真っ暗の大口を開けて待ち構えているような、まるでブラックホールを
思い出させるような闇に、このまま私達は飲みこまれてしまうのではないか。
もう二度とあの暖かい家族が待つ我が家へと、また、喧騒が包む仕事場へとは
戻ることができなくなってしまうのではないか――

そのような感情が少なからず私を支配したものだが、
どうやらそれも杞憂であったらしい。
ゆっくりと前方の視界に広がってゆく白に軽い安堵を覚える。

やがてその境界は頭上を通過し、私を暗闇の世界から――

しかし、その期待は裏切られたようだ。
私の視界に広がった色は真っ白なホワイト、そして光輝く陽光――もし絵の具を使い
表現するとしたならイエローが適当だろうか――などではなく、
そう、まるで出口の白はトンネルの闇から、黒の中から完全には逃れられなかった
のではないかと思わせるような、一面グレーの世界だった。

10 :木多娘。 :2001/12/30(日) 01:01

大粒の雨が、もうそれを防ぐものの無くなったバスの窓に
思いっきり叩きつけられる。それはもはや大雨というようなものではなく、
嵐といってもいいほどの激しさだった。
隣りに座っている加護亜依――私はいつもあいぼんと呼んでいる――が、
その瞳に不安の色を浮かべた。

前に座っている矢口さんが、その座席の上からチョコン、と顔を出し
私達のどちらか1人に向けるでもなく話し出す。

「…なんかすごい雨だね……これから行く洋館って結構古いらしいんだけど
 大丈夫かなぁ……。 ……まさか電話が繋がんなくなっちゃったり、
 しばらくそこに閉じ込められたりなんて……しないよねぇ?」

矢口さんが言葉を切ったとき、私の中に何かが芽生えたような気がした。
それは急速に大きさを増し、自身の内面を満たしてゆく。

私は何者かに支配されたかのように座席から立ちあがり――そして叫んだ。

「は、犯人はこの中に居る!」
「早ッ!」

11 :木多娘。 :2001/12/30(日) 01:02

「辻、早いよ! 早くて早くて早くて氏ぬよ!」
「…そうですか?」
「そうだよ! …それに…早い男は嫌われるってのも昔からよくいうでしょ?
 …………はぁ…ったくあのときはホントもう……」

矢口さんは少しまくし立てたかと思うと、自分の殻に閉じこもってしまったかのように
静まり、やがて独りごちた。それは人――つまりここでは私のことだ――に聞かせる類の
ものではなく、まるで過去の自身に問いかけ、そして弁解しているかのような口調だった。
バスのエンジン音、また、窓に叩きつける雨の音。そんな周囲のノイズにかき消され、
私の耳までのわずかな距離(以前体育祭で走った100メートルのことを思い出した。
短いように見えて、走り始めるとあのゴールはなんと遠いのだろう!)ですら
届くことはない。

…もしかしたらこの人は、『早い』『男』そのキーワードに関連する事柄で
過去に何か苦い体験でもしたのだろうか。それならば――

そう、無理に聞き出すことはない。人間誰しも、人には知られたくない過去が
あるものだ。たかだか14年かそこらしか生きていない私にだって
ひとつやふたつ、そのような過去が存在する。ましてや私より5年近くも
先に人生の道を歩み始めた矢口さんなら、なおさらであろう。
私はもう、それ以上彼女に問うことはしなかった。

12 :木多娘。 :2001/12/30(日) 01:02

全く勢いを弱めることのない雨が、バスのフロントガラスへ
容赦無い殴打を浴びせている。ワイパーは1秒たりとも休むこと無く
己に課された職務を遂行していたが、その努力も空しく先に開ける視界は
せいぜい2、3メートルがやっとというところだった。
もう古くなっているのだろうか、しきりにワイパーが耳障りな音を発している。
それはどこか人の叫び声にも似ていて、あたかも彼が助けてくれと悲鳴を
上げているように感じられた。

少しして、にわかに雨音が弱まったようだった。
一瞬、必死に助けを乞うワイパーに同情した雨が、その暴力を一時
中止したようにも思われたのだが、どうやら違ったようだ。
窓ガラスの向こう側が、やや黒みを帯びた緑で満たされている。
バスが森の中へと――もっとも、木が生い茂っているだけであって、森という
呼び方が本当に合っていたのかはわからないが――入ったらしい。
バスの頭上を雨から庇っている葉は、しかし風に揺られ、まるで私達に対して
おいでおいでをしているかのように――それこそ、この先の洋館への道案内を
しているかのようにざわめいていた。

「……なんだか気味悪いね」

やや離れたところから、他の誰かとは聞き間違えることのないであろう梨華ちゃんの
独特な声が少量の不安を含んで私の元へと届いた。
しかしそのアニメ声はまるでこの場には似つかわしくなく、せっかくの盛りあがってきた
雰囲気をぶち壊しにしているのだった。

ただ、その言葉で私が救われたのも事実である。
おそらく彼女の一言が無ければ、私は突如として自身の中に姿を現した欲求に身を任せ、
「……そろそろおなかが空いてきたのれす。持ってきたお菓子、ここで開けても
 いいれすかぁ?」
などと発言していたに違いない。

まったく……空気が読めないのは梨華ちゃん1人で十分だ……。

13 :木多娘。 :2001/12/30(日) 01:03

しばらくの間、バスは木々が作る天然の傘の下を走行していたが、
その庇護が急激に失われた。森を抜けたのだ。
またしばらく豪雨の中を進むのだろうか。バス――もちろんワイパーも含めて――
に対し、やや哀れみにも似た感情を覚えたのだが、それも前方に見えてきた
洋館の姿によってすぐにかき消された。あすこに着けば、たとえ雨は止まなくとも
走っているときよりは幾分マシだろう。

バスが近づくにつれ、洋館の全貌がはっきりと見えてくる。
到着する前はもっと古めかしい、中世のお城のようなものも想像して
いたのだが、意外にそれは近代的な作りをしていて、私にほんの少しの
安心感をもたらした。だが、それに代わり、全く反対の感情が静かに
私の心を満たしてゆくような気がした。
気のせいだろうか?……いや、確かにそれは存在していたのだ。
森を抜けたときから、もしかしたらトンネルに入るその前からも――。

バスが洋館の前へと停車した。

「…じゃあ、降りよっか」
飯田さんの声でみんなそれぞれに座席を立ちあがり、バスから降りる。
マネージャー達は後から到着することになっていたが、あらかじめ
バスに積んであった(まったく、用意のいいことだ)傘のおかげで
雨に濡れることもなく、玄関へ集合することができた。
周りを見ると他のメンバーは一様に安心したような表情を浮かべていたが、
しかし、私の中ではさきほど感じた違和感がみるみる間にその容量を増していた。

となりに立っているあいぼんに視線を向ける。彼女は「なに?」とでも
言いたげに私の目を見返してきた。私はもう一度その表情を確かめ、
そして意を決し――口を開いた。

「…人減った?」
「ハァ?」

14 :木多娘。 :2001/12/30(日) 01:05
なんとなく今日はここまで。
日本語がおかしいのは、私の頭がおかしいせいです。

15 :名無し娘。 :2001/12/30(日) 08:15
をを!ボツネタスレの続きだ!
期待sage〜

16 :木多娘。 :2002/01/03(木) 03:33

「誰が?」
「…あ……中澤さん…とか…?」
「……何ヶ月前の話や」
「それか……尾見谷杏奈…とか?」
「いや、最初っから入ってへんし…ていうか何で疑問形やねん」
「もしくは……」
「…もうええわ」

あいぼんは一度溜め息をつくと、少し苛ついたような顔をして「先行くで」と言い、
すでに玄関の中へ向かっていた他のメンバーに続いた。
そんなに怒ることないのに。彼女の態度に少しだけ不満を感じつつも、
「まあ人それぞれか」と自分に言い聞かせ、その後を追う。

――いや、本当は、やはりあいぼんはいつもと違っていたのだけど――しかし私は
そのときまだ、彼女の異変に気づいていなかった。


洋館の中へと入り、ひとまずホールへと移動する。

「ねえ、電話ってどこ?」
みんな集まるが早いか矢口さんが言った。
バスの中でもそうだったように、この嵐のせいで電話が繋がらなくなって
ないかが心配だったのだろう。

17 :木多娘。 :2002/01/03(木) 03:34

「…あ、あったあった」
矢口さんはすぐにそれを見つけ、どこかへとダイヤルを始めたが、
「…あれ?」
ほんの少し不安な表情で一度受話器を置く。そして再度ダイヤルをし、
今度は明らかに動揺の色を見せ、受話器のフックを連打していた。

「……繋がらない……ウソでしょ…!?」
やや震えた声とともに矢口さんが(バスの中で私に話していたからか?)こちらを向く。
もしかして――。
私はふと、ここへ来るまでにチラリと視界に入ったものを思いだし、その場所へと走った。

「……やっぱり」
予感が確信へと変わった。すぐに矢口さんを呼んできて、そこにあるもの、
電話が繋がらない原因を示した。矢口さんが愕然としたように言葉を吐き出す。

「――NTTの通話料金請求書…! こんなに溜まってるなんて…一体何ヶ月
 払ってなかったの……」

そのとき、後ろから私達を追ってきていたあいぼんが、静かに言った。

「いや、別に携帯つこたらええんちゃうの? 全然電波届いとるし」
「あ……」

矢口さんは少々慌て気味にポケットから携帯を取り出し(その姿はどこか
うたばん出演時に一緒にダンスをした貴さんを想像させるものだった)
どこかへ通話を始めた。

18 :木多娘。 :2002/01/03(木) 03:35

Prrrr.....
私のすぐとなりから、にわかに音があがる。
あいぼんが、液晶の点滅と無機質な着信音によって己の存在を主張し続けているかの
ような携帯電話――もちろん彼女のものだ――を取りだし、そして耳に当てた。

「……はい…もしもし…?」
「もしも〜し、私はミニモニで〜す、どちら様ですか〜♪」
「か、かっごちゃんです♪ ……いや、こんなことして楽しいっすか? 矢口さん…」
「……」

その場に沈黙が訪れた。
それはまるで、私達の周囲の大気が一瞬にして失われ、音という音が自身の運動を
放棄したかのような静けさだった。あまつさえ息苦しさすら感じられる。
数瞬の後、その静寂を破ったのは矢口さんだった。

「みっ…ミニモニでしたぁーー!!」

そう絶叫すると、クルリと回れ右をしてホールへの通路を駆けてゆく。

――……ミッニモッニテレフォンッだリンッリンッリンッ…!――
本来は楽しさに溢れるはずの歌が、多分に悲しみの要素を含んで私達の元から
遠ざかっていった。きっとさっきの奇抜な行動は先刻の狼狽ぶりをごまかすための
ものに違いなかったのだろうが、あいぼんはその、だんだんに小さくなってゆく矢口さんの
声と背中に失笑を禁じえないようであった。彼女がこちらを向き、目で同意を求める。
私が曖昧に頷くと、やがて元居たホールへと向かって歩き出した。私も何事も無かったように
それに続いたが、しかし頭の中ではあのときの状況がしきりに反芻されていた。
もしも私があの場面で矢口さんの立場だったら? やはり同じような行動しか取れなかった
だろう。それは『こちらはミニモニ留守番電話サービスです』であったか、でなければ
――そう、『ハマミエ!』をやっていたに違いない。

矢口さんには同情を禁じえないが、正直、その災厄が私に降りかかってこなかったことに
ただひたすら胸を撫で下ろすばかりだった。

19 :木多娘。 :2002/01/03(木) 03:36
とりあえず少しだけ。

>15
ありがとうございます。そしてこんなくだらない話に期待していただいて
すんません。でも嬉しいのでちょっとがんがります。

20 :名無し娘。 :02/01/05 07:04
おもろいよ〜
がんがって〜

21 :木多娘。 :02/01/06 04:25

少しドタバタしながらも、とりあえずミーティングが終わった。
飯田さんの話によると、この屋敷は一応持ち主はいるものの、
普段ここには住んでおらず、時々業者に清掃を頼んで、使いたい人
(つまり私達のように撮影に使う等)に貸し出しているらしかった。
ホテルや旅館のように料理人こそ居ないものの、冷蔵庫には食材がたっぷり
用意されており、それを料理する設備もきちんと整っている。
これからここにいる間は、食事の用意を私達でやることになるようだ。

撮影スタッフ達は、ますますひどくなっていた嵐のため、明日以降到着ということに
なったそうだ。もっとも、企画の内容は飯田さんも詳しくは聞かされておらず、
もしかしたら事前に隠しカメラが仕掛けてあって、私達の素の行動をテープに収める
というものの可能性もありうるので、あまり羽目を外すことは無いように、との
注意も受けた。

22 :木多娘。 :02/01/06 04:25

1時間ほど休憩をとった後、早速夕食の準備に取りかかることとなった。
メンバーの中ではわりと料理が得意な安倍さんと、彼女に最近料理を習い始めた
矢口さんの2人を中心として、簡単に作れる割に大人数でも楽しめるということから
夕食はおでんに決定した。一瞬、安倍さんが杏仁豆腐と称した牛乳寒天を作るのでは
ないかと心配したが、冷蔵庫に寒天が用意されてなかったことが幸いし、
(安倍さんは大変に残念がっていたが)それは実行に移されることはなかった。
いくら私が食欲旺盛なほうでも、あれはちょっと勘弁してほしい。相手が梨華ちゃんなら
たとえ勧められたとしても一刀両断に断ることができるのだが、安倍さんともなれば
話は別だ。腐ってもマロンメロンは健在なのである。

30分ほどでおでんは完成し、みんなで食べることになった。
普段家で食べるものとは多少味付けが違うものの、十分に満足のゆく味である。
ただ、食事の最中、先刻の出来事がまだ後を引いていたのか矢口さんとあいぼんの間で
軽い言い争いが起こった。その内容に耳を傾けてみると、関西でおでんのことを
「かんと煮」と呼ぶことについて「かんと」は関東からきたのか広東からきたのかという
ことで揉めているようであった。
思わず私は「アンタ等は鯛勝負(単行本16巻)のときの山岡士郎と京極さんか」と
つっこみ、その後料理の心、真に人をもてなす心について子一時間問い詰めたい
衝動に駆られたが、ここで私が美味しんぼフリークだということを皆に知られては
何かと都合が悪いのでやめておいた。

食事が進むにつれて、2人の言い争いはやがて関東と関西の味の違いについての
話題へと発展したようであり、そこには談笑すら存在していた。
これでミニモニ。解散の危機も去り、ミカちゃんの今後の芸能活動も一応は安泰と
いうものだ。
私が余計な口を挟んだりしなくてよかった。
まったく、「饒舌は銀、沈黙は金」とはよく言ったものである。

23 :木多娘。 :02/01/06 04:26

食事も終わり、軽い後片付けをして、それぞれ割り振られた部屋へと向かう。
普通の家屋に比べれば大きめであるが、それほど部屋数は多いわけでもないので、
結局いつもツアーでホテルに泊まったときのように2人1組で部屋を使うことになった。
私はあいぼんと一緒の部屋である。他にはよっすぃーと梨華ちゃんが同じ部屋、
新メン4人は2組に分かれて、というようなものだった。
先輩達の部屋割りについては、そのとき少し考え事をしていたこともあってよく覚えて
なかったのだが、多分いつもとあまり変わらないだろう。飯田さんが1人部屋に
なったということは聞いたような気がした。

荷物を運び込んだ部屋は、ホテルのように部屋に個別の浴室はついておらず、
少し大きめの浴場を何人かずつ使うことになったのだが、そのときあいぼんが
皆で入浴することについて少々渋った。詳しい事は聞かなかったが、多分最近気に
なっているウエスト周りをあまり大っぴらに見せたくないという理由等からなのだろう。
しかしここで身勝手な行動をとるというのもどうかと思い、説得にあたることにした。
上着を捲り上げ、そば屋の入り口に置いてある狸の置物よろしく腹太鼓を叩いて
「スタイルなど気にすることはない」というようなことを話したところ
それが功を奏したようで、彼女も皆と入浴することを承諾した。
テレビの番組を見る限りでは話し下手に思われているようだが
私もやるときゃやる女なのである。なんせ人生の師は三国志の劉備玄徳というほどだ。
いざというときの交渉事はぜひとも私に任せていただきたい。

シャンプー、リンス等はあらかじめ用意されているということで、愛用の垢すりだけを
持って浴場へと向かう。だが、中に入ってから激しく後悔した。一緒に入ったのは
飯田さん、梨華ちゃんという、メンバーの中でも1,2を争うほどのスタイル抜群な
人達だったのだ。自分の腹と彼女達のウエストを見比べる。
思わず「所詮この世は砂の城…」と、人生を儚んで人里離れた山奥にでも
引きこもることを決意しそうになった。

黙ってあいぼんと一緒に時間をずらして風呂に入ってりゃよかったのだ。
この時ほど「後悔先に立たず」という言葉が重くのしかかってきたことは
私の14年間の人生においても無かったであろう。

24 :木多娘。 :02/01/06 04:26

憂鬱な入浴タイムを終え、部屋へと戻る。
これといってやることも無かったので、よっすぃー達の部屋に行って
トランプでもしようということになった。

他愛もない会話を交わしながら、ゆっくりと時間が過ぎてゆく。
やがて4人でやっていた大富豪に一区切りがついたころ、私は時計を見て
そろそろ自分達の部屋に戻ることを提案した。
あいぼんは「もうちょっと居てもええんちゃう?」と、少々未練が残っていた
ようだが、「明日のこともあるから」と言ってそれを制す。

トランプを片付け部屋を出る際、梨華ちゃんにそっと「後は2人でごゆっくり」と
耳打ちした。彼女は普段あまり変わることのない顔色を真っ赤にして、
「うん……」と頷く。

廊下へと出て自分達の部屋に戻る道を歩きながら、ふと、これから行われるであろう
彼女達の行為を想像してしまった。

それは梨華ちゃんとよっすぃーと、そして私を入れた3人だけが知っている秘密。

25 :木多娘。 :02/01/06 04:27

初めて彼女達の関係を知ることになったのは本当に偶然の出来事だった。
ある日のこと。矢口さんやあいぼん、ミカちゃん達より少し早く、ミニモニでの
撮影を終え、私はちょっとした用事を思い出して楽屋へと戻った。
だが、何気無く開いた扉の向こうで、2人の行為は始まろうとしていた。
そこでは、よっすぃーが片手にそのための道具を持ち、そしてもう一方の手、その指を、
まさに梨華ちゃんの穴(なんと嫌な表現であろう! ああ、でも他の言い表し方を
私は思いつかなかったのだ。それとも彼女自身とでもいえばよかったのだろうか?)に
差しこもうとしていた。

「…あっ…! ののちゃん……!?」
梨華ちゃんが慌てて、その部分を手で覆い隠そうとする。
よっすぃーはただ呆然と、私の方を見つめていた。
見てはいけないものを見てしまったような気がした。
そしてすぐに踵を返そうとしたその時。
「…ののちゃん待って!」
梨華ちゃんに引きとめられた。よっすぃーもその声で我に返ったようだ。

「…………あのね、ののちゃん……こんなこと言うのって……その……
 あれなんだけど………このこと、みんなには黙っててほしいの……。
 …そ、そうだ、あとで美味しいケーキ奢ってあげるから! …ね?」
それを聞いて、よっすぃーが口を開いた。
「……もういいよ、見られちゃったんだからしょうがないじゃん。別にあたしは
 他の人達に知られたって…」
「…ダメ! それだけはダメ!」
「でも…」
「よっすぃーは黙ってて! …ねぇののちゃん、このこと…みんなには言わないで
 いてくれるよね…?」

いつになく凄みを増した梨華ちゃんの迫力に、私はただ、黙って頷くことしかできなかった。

26 :木多娘。 :02/01/06 04:27

少しして、空気が落ちつきを取り戻したとき。
私はにわかに湧いた好奇心に身を任せ、その行為について2人に
聞いてみることにした。

彼女達は2人っきりになったとき、たまにこのようなことをしているらしい。
理由を聞くと、ストレス解消のため等、ということだった。
それを聞いて私はつい、「…それなら1人でもできるんじゃないの?」と
言ってしまった。

余計なことを言った――。
私の言葉によってもたらされた2人の気まずい表情を見て、すぐに後悔をする。
だが、すでに発してしまった言葉を取り消すことはできない。

結局、私はケーキを奢るという梨華ちゃんの誘いを断り、しかし今見たことは
3人だけの秘密にすることを約束した。いや、もしかしたら私の他にも
プッチモニ、または教育係として2人と繋がりのある保田さんあたりは気付いているのかも
しれない。だが、気付いていたとしても彼女はそのことを周りに口外したりはしないだろう。
あの人はそういう人だ。

27 :木多娘。 :02/01/06 04:27

――――――

「…………なあ、のの。ぼーっとしてもうて…一体どしたん?」
「…えっ? あ、いや…なんでもないよ」
「…そう?」
「うん」
「ふーん……」

あいぼんに声をかけられ、はっと我に返る。
まだあいぼんは腑に落ちないといったようだったが、
適当に理由をつけて、うやむやにすることにした。

正直、彼女達のしていることは、今の私には理解できない。
もしも、それによってストレス解消、またその他にも様々なメリットが
得られるとしても――やはり私は、お互いのそれを見せ合うということに
気恥ずかしさを感じてしまうであろう。それはまだ私が幼いせいなのだろうか。
それともやはり、彼女達が特別なのだろうか――。

どちらにしても、今あいぼんに話す必要はない。
あのことは口外しないと彼女達に約束したのだ。
それ以上口を開くことなく部屋へと向かいながらも、
もう一度、彼女達がしている行為を想像した。きっと今ごろ――

そう、よっすぃーが先に梨華ちゃんの鼻毛を処理をしていることだろう。
一方の手は梨華ちゃんの鼻にあて、もう一方の手には鼻毛切りハサミ、もしくは
毛抜きを持って。そして片方が終わったら今度は互いの立場を交代して――。

やがて私達は部屋へと到着し、間もなく電気を消して、眠りについた。

28 :木多娘。 :02/01/06 04:27

――――――

「……ん…」

ふと目を覚ました。周りを見るが部屋は暗く、まだ朝がおとずれてないことは
靄のかかった頭でも容易に判断できる。それなら何故、こんな時間に目を覚まして
しまったんだろう?

だがその疑問はすぐに解消された。となりのベッドに寝ているはずのあいぼんが居ない。
そして、部屋の隅の方で何かガサガサと動いているものがある。
きっと目を覚ましたのは、その違和感のためだったのだろう。

少し目をこらして、その動いているのがあいぼんだと気付いた。
私はゆっくりと――何故かそうしなければならないような気がして――
音をたてずに近づいた。

「ねえ…」
静かに声をかける。彼女はギクリとしたように、こちらを振りかえった。
「何…してるの?」
いや、この問いかけは正しくない。私はすでに彼女が何をしているのかわかっていた。
一部、アルミで包まれた簡単な装置らしきもの。その下でゆらめいている炎と
その上であぶられているもの。

「あいぼん……」
もう一度、語りかける。

「…………ごめん……のの……」
彼女が口を開いた。

「……けど……辛かってん……もう…ガマンできなかってん……」

29 :木多娘。 :02/01/06 04:28

「あのね…」

一歩一歩、その場所、部屋の隅へと近づいていく。
彼女はただ俯いて、さっきと同じセリフを繰り返していた。

「あんな…」
「…ん……」
「…………」
「……うん、いいの」

あいぼんのとなりに座る。そして俯いている彼女の手をとった。
彼女はビクッと震えたようだったけれど、
「だいじょうぶだから…」
そう言って、静かにその指を口に含んだ。

これほどまでに彼女が苦しんで、手を汚していることに、今やっと気付くなんて――。

私はまだ、その指を口に含み続けていた。もしかしたらそれは傍から見ればまるで
無意味な行動に見えたのかもしれない。
けれど、そう、少なくとも私達にとっては意味のあるものに思えた。
こうすることで、彼女の手の汚れをいくらかでも浄化できているように思えた。

30 :木多娘。 :02/01/06 04:29

どれだけ時が刻まれたのかはわからなかった。
もしかすれば、それは数秒だったのかもしれないし、数分なのかもしれない。
彼女の指への口付けをやめ、また静かな口調で語りかけた。

「……あいぼんは…いつもこうやってるの?」
「…いや…うん……これ、前の……おとんが……」
「…そっか」

事務所の方からも色々と注意を受けていた。
けれど、それ以上私は彼女を問い詰めることはしなかった。
いや、それよりも自分自身を責めることでもう精一杯だったんだ。
たとえタンポポ等のユニットでの活動があったとしても、彼女の側に
もっとも近い場所にいたのはこの私。それなのに――

どうすればいい? どうすれば私は償うことができる?

――そうだ。
私も汚れてしまえばいい。
そしてそのことによって彼女が抱えていた重りを、葛藤を、
分かち合うことができるのなら――

「…ののっ…!? そんな…ダメッ……!」

彼女の止めようとする言葉を振り払い、そして、躊躇うことなくそれ――
アタリメを手に取り、指につくくらいに思いっきりマヨネーズをつけて、
口の中へと入れた。

「のの……ちゃんと焼いてから食わなアカンがな……」

もうひとつ、口に入れた。むしろ、どんどん入れた。

「…いや、いくら腹減ってるゆうても……ホンマ、ちょっと食いすぎやって……
 マジでまた太るで……」

31 :木多娘。 :02/01/06 04:30

>20
ありがとうございます。こんな話をおもろいといってくださる
あなたもおもろい! というわけでがんがります。

でも正直、この話、何も考えずに書いてます。
読んでくださってる方、本当に申し訳無い。

32 :名無し娘。 :02/01/06 06:14
アタリメにマヨネーズは邪道! (w
こういうネタスレ好き。期待sage

33 :名無し募集中。。。 :02/01/06 17:06
「木多娘。面白い」

ちなみにアタリメにはマヨ+醤油+七味派(w

34 :木多娘。 :02/01/10 09:16


「…………うーん…」

目を覚ます。

外の嵐は昨日のままに、暗い灰色のカーテンで陽光が地上の領域へと
解放されるのを遮っていた。しかし、それでも夜に比べれば極わずかではあるが
光量を増した室内のため、朝が訪れたということは認識できた。

「ん、んーっ……」
ベッドから半身だけを起こし、軽く伸びをして
まだ少し体にまとわりついている睡魔の服を脱ぎ捨てる。

(あいぼん、まだ寝てるかな…)
結果的に昨晩は夜更かしをしてしまったため、きっと彼女も
まだ暖かい布団に包まれて寝息をたてていることだろう。
そう思い、隣りに目を向けてみたのだが、

「…あれ?」

そこに彼女は居なかった。

35 :木多娘。 :02/01/10 09:16

「……あいぼん?」

ベッドから視線を外し、部屋の中をぐるりと見渡す。
だが、私の視界の中に彼女の姿が映ることはなかった。

「……トイレ…かな…?」
にわかに自分の中で成長を始めた不安の種子を否定したくて
誰に聞かせるでもなく1人、そう口に出してみた。
しかし、もう一度瞳に映した彼女のベッドはやけに綺麗に整頓されており、
不安の芽は、摘み取ろうと伸ばした私の手をあっさりかわして、
ゆっくりと、だが確実に根を張り、葉を繁らせていった。

(もう起きてみんなのとこに行くんなら……私のことも起こして
 くれるはずだよね…)
そして、ふと、昨日のことを思い出してみる。
(まさか)
一瞬瞳の裏に横切った映像を、首をブンブンと振って振り払った。
昨日の彼女の思いつめた表情の原因はすでに取り除かれたはず。
けれど、もし――

Prrrrr.....Prrrrr.....

そのとき、内線電話の代わりとして使っていた携帯電話が
場違いに明るい声で私を呼びつけた。

36 :木多娘。 :02/01/10 09:17

「…も、もしもし…!?」
慌てて応答したため、少々声がうわずってしまう。
電話の相手は保田さんだった。

『…あ、辻? アンタ…目、覚めた?』
「…はい」
『…そう。だったら…』
「…そ、そうだっ、あいぼんは、あいぼんはそっちに行ってるんですか!?
 無事なんですかっ!?」
『え…? ああ、加護だったら…一応はここに居るけど……』
「……なんだ…よかった…」
『…でもそれより…』

「……えっ…!?」

ホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、続いて流れてきた保田さんの言葉に
後頭部を鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。
持っていた携帯をその場に放りだし、着の身着のままで部屋を飛び出す。
保田さんはまだ何か喋っていたような気もしたが、もうほとんど覚えてはいなかった。
口から飛び出さんばかりに跳ねあがる心臓を抑えつけ、廊下を駆ける中、
さっき彼女の放った1フレーズだけが壊れたCDプレーヤーのように
私の脳裏でリピートされ続けていた。


――早く来ないと朝御飯無くなっちゃうわよ――

37 :木多娘。 :02/01/10 09:23

ただひたすら、食堂へと通じる廊下を駆ける私の前方に
1つの曲がり角が見えた。
(あの角を曲がれば食堂だ)
駆ける速度をさらに上げる。

普通なら、このまま行けば急角度の坂道を全速力で降りてしまった
まことちゃん(単行本22巻、not(シャ乱Q or 似非猪木))よろしく、
壁に思いっきり激突してしまうところであるが、私には切り札があった。
ドリフトキング土屋圭市(思えば『ドリキン』とはまた微妙なニックネームだ。
おそらく日本全国を捜せば、本気で『ドリチン』だと勘違いしている人間が
十数人は居るであろう。そしてその人数は、13人を超えればもはや国民的とも
いえるのだが、ここではそのことは関係無い)も真っ青の2足ドリフトである。

カーブを曲がる際、ややアウトから進入し、心のギアを6速から4速まで落とした後、
人より大きめ、ポッチャリ安産型のケツを振り、直後にアクセルオン。
そしてカウンターを当て、体勢を立て直し、駆ける。

いつもとは勝手の違う路面に少々不安を覚えたが、このときも見事に2足ドリフトは
成功した。私は心の中で「It's Cooooooool !!!」と叫びながら、また食堂への
道を疾走した。

38 :木多娘。 :02/01/10 09:23

そういえば『希美、心のギアチェンジ』はかなり有名である(私の中で)。
その知名度たるや、『友蔵、心の俳句』と肩を並べるほどであろう。
他に『心の○○』といえば、どこかで見たような気がする『心と健康』とかいう
書籍ぐらいしか思い浮かばないのだが、正確にはそれは『心の』ではなく
『心と』であるため、ここでは除外する。そしてそうなれば、残るは2択、
クイズ100人に聞きましたでもパネルは2枚だ。さあ、視聴者のみなさんも
解答者のみなさんもガンガン答えていきまっしょい。

と、言いたいところだが、事はそれほど単純ではない。
もし安易に答えて2番のパネルを開くことになったとすれば、
その解答者は準優勝と称したビリッケツの冠を
頭上に抱かなければならないのだ。
そしてそれは、関口・前髪メッシュ・宏にも敗北したことを意味する。
ならばどうすれば…。

だが、その思考は前方に見えてきた食堂の入り口によって中断された。
そうだ、今は一刻も早くあのドアをくぐるのが先決なのだ。
というか、『100人に聞きました』もすでに放送終了しており、
それで1位だろうが2位だろうが、やはり全く関係無い。

39 :木多娘。 :02/01/10 09:23

食堂の中へと入った。
メンバーはすでに集まり、テーブルについていたが、
何故かそこは一寸奇妙な雰囲気に包まれていて、思わず私は
イスまでの距離の半ばで足を止めてしまった。
なんだろうこの感覚は…。
もしこれが少年マガジンの漫画であったなら、見開き3段ぶち抜きの大ゴマで
でかでかと『!?』マークが5、6個は浮かんでいたに違いない。
というかマガジンは無駄にあの『!?』を使いすぎだ。

ひとまず、普段ほぼ指定席ともなっている、あいぼんの隣りに座る。
ふと、視線を合わせた彼女の目は少し腫れているようだった。
やはり昨日の夜――あのあと1人で涙を流したりしたのだろうか?
だが、今ここには私達だけではなく他のメンバーも居る。
軽はずみにそのようなことを聞くわけにはいかない。
とりあえず、何気ない話題で彼女の様子を伺ってみることにしよう。

「…もう…あいぼん、先に起きたんだったら私のことも起こしてくれれば
 よかったのにぃ」
「……その起こしたウチの顔面に思いっきりグーパンチ喰らわせたの、
 どこのどいつやねん……」
「えっ…」

40 :木多娘。 :02/01/10 09:24

なるほど。あいぼんの目の腫れはそのためだったのか。
それなら、保田さんに電話であいぼんのことを聞いたとき
口を濁したのも納得だ。
一気に彼女との間に、気まずい空気が流れる。
私の頭の中では、ジョンだかピエールだかという名前であろう金髪の
外人が、「リメンバー ヤグチマリ’ズ シチュエイション!」などと
訳のわからない英語をただひたすらに叫んでいた。
これはまずい。ある意味、要バファリンである頭痛信号の27倍(当社比)は危険だ。
どうすればいいだろうか……?

……そうだ。
私は咄嗟に、手元にあった味海苔をちぎり、前歯に貼り付け
そして「あいーん」のポーズをやってみた。

どうやら、あいぼんが微妙に気にしているスキッ歯のことを
図らずも刺激してしまったらしい。さらにこちらを睨み付ける。
もしそれが大好物のメンチカツであるなら、私は寝起きであったにも
関わらず嬉々として口に運び、その風味を堪能したのだろうけど、
あいぼんに切られたメンチはとてもじゃないが喰えやしなかった。
それこそ犬も喰わない夫婦喧嘩並だ。

41 :木多娘。 :02/01/10 09:24

それ以上、彼女との間の空気に耐えることができなくなり、
視線を他の場所へ向ける。

「……あれ?」
食堂に入ったときはそのことに気付かなかったのだが
どうやらまだ、メンバー全員がそろってはいないようだった。

「…飯田さん…は?」
私が投げかけたその疑問に、保田さんが答えた。
「ああ、圭織、ねえ……まだ起きてきてないのよ…。1人部屋だし
 本当は誰か起こしに行った方がいいと思うんだけど……ほら、
 あの子、そういうのあまり好きがんないしさ……」
そこでまた、口篭もる。

ああなるほど、食堂に入ったときの妙な雰囲気の原因はこれだったのだろう。
言われてみれば、どこからか「師弟で寝坊ってか。おめでてーな」という
空気が流れてきてるような気がしないでもない。

けれど、安倍さんならともかく、飯田さんが寝坊というのも珍しい。
もともと遅刻には神経質な方であり、たとえハードスケジュールの中でも
きちんと集合時間には間に合わせる彼女が今日に限って――?

42 :木多娘。 :02/01/10 09:25

しかたない。少し周りに引け目を感じてることもあるし、ここは私が飯田さんを…
そう思って、イスから立ちあがりかけたのだが、
「あ、あのっ」
それより先に紺野ちゃんが口を開いた。
「わ、私…飯田さん、起こして…きますっ…」
そしてパタパタという足音とともに食堂のドアから出て行く。

(先、越されちゃったな……でもま、いっか)
少しだけ肩透かしを食ったような気もしたけど、まあ彼女が行ってくれるなら、と
その後ろ姿を見送り、そして再びあいぼんの方を見て、
「どうやって機嫌直してもらおうかな」なんていうことを考えていた。
そのときはもう、飯田さんの寝坊のことも頭の中からは忘れ去られていた。

けれど。
やはり私が飯田さんの元へと行くべきだったのだろうか。
もし、私が行ったとして、何かが変わった?
いや、きっと、変わらなかったかもしれない。

それでも――。

43 :木多娘。 :02/01/10 09:25

――ひぃっ…!――

「……え?」
これは――悲鳴? 誰の? もちろん1人しか考えられない。
私はあいぼんとは反対隣りに座っていた安倍さんと目を合わせ――だがそれは
ほんの一瞬のことであった。彼女も異変を悟ったのだろう、すぐに
イスから立ちあがり、そして食堂のドアを飛び出してゆく。
私もそれに続き、食堂を飛び出した。

飯田さんの部屋へと続く廊下を駆ける。
前方には、すでに安倍さんの背中は無く、私はさらにその足を速めた。

廊下がとてつもなく長く感じられる。
すでに心臓は悲鳴を上げていた。
無論、全力で走っていることの他にも多分に別の理由が
混じっていたためなのだろうけど――

胸を打つ鼓動が、ますますそのスピードを早めてゆく。
それはまるで、そうすることによって時間の過ぎることを少しでも
遅らせようとしているかにも思われた。

やがて、廊下の先に、一つの開け放たれたドアが見えてきた。

44 :木多娘。 :02/01/10 09:26

足を止め、そのドアの前に立つ。
部屋の中には、中心辺りに立ち尽くしている安倍さんと――
その近くに座り込んでいる紺野ちゃん?
ここからではまだ中の様子がわからない。

数瞬の迷いの後、意を決して、一歩踏み出す。
ドアをくぐると、昨夜も焚いたのであろう、スプリングミストの甘い香りが
私の体をふわりと包み、その部屋の主が誰であるかをすぐに教えてくれた。

「……辻?」
安倍さんがハッとしてこちらを振り向いた。
私はまた、部屋の中へと一歩進む。すでにベッドの下半分が視界に入っていた。

「…辻っ、ダメッ、こっちに来ちゃダメッ…!」
安倍さんは私の元へと駆けより――半ば抱きすくめるようにして
私の歩みを遮ろうとする。


――なぜ? どうして邪魔をするの?
私には見る資格があるはずだよ?

安倍さんの気持ちはきっとわかってる、けれど。

けれど、飯田さんは私の教育係なんだよ?
たとえ、もう十分に教わることが無くなって、
そして一人前の娘。になったとしても、それでも――


飯田さんは私の教育係なんだよ。

45 :木多娘。 :02/01/10 09:26

「痛っ…!」
必死に押えこもうとする安倍さんを振り払い、ベッドの元へ、駆けた。



触れたら折れてしまいそうに細い首。少しぽってりとした厚めの唇。
陶磁器を思わせるような透き通った肌――それはやや蒼白だった?
でもそれも、いつも通りの飯田さん。

ただ、いつもと違ったことは。
天井を見るようにカッと開かれた瞳。
そしてその額に刻まれた――。

「辻……」
安倍さんが諦めたように、もう一度私を呼ぶ。
しかし、それはもはや私の耳に届いてはいなかった。

46 :木多娘。 :02/01/10 09:27


――初めまして、飯田圭織っていいます。よろしくね――

飯田さん。

――よーし辻、とりあえず10回やろっ、10回っ――

飯田さん。

――辻ぃ、返事は「へい」じゃなくて「はい」でしょ? ああもう、また言ってる――


飯田さん、飯田さん、飯田さん――。


どうしてだろう。
なぜこんなにも、2人で過ごした時間が、
昨日のことのように思い出されるのだろう。
もう見ていたくないのに。もう見ているべきじゃないのに。
いくらそう思っても、彼女から視線を外すことができない。

47 :木多娘。 :02/01/10 09:28

「…どうしたの!? 何があったのっ!?」

そのとき、私達を追ってきた誰かが、部屋に入ってきたようだった。

「…辻もなっちも……それに紺野……」
すぐ隣りまで近づいた声で、やっとそれが矢口さんであると気付いた。
それでも私はただ、何もできずにその場に立ち尽くしていた。
矢口さんが私の視線を追い、そして言葉を吐き出す。

「…なんでこんな……誰が圭織にこんなこと……」


私も、安倍さんも、紺野ちゃんも、口を閉ざして
ベッドに横たわるの飯田さんのただ一点だけ――、
彼女に刻まれた、その非日常を見つめ続けていた。

窓を叩き付ける雨の音だけが周囲に流れる中、
矢口さんがもう一度、喉から声をしぼり出した。



「…一体誰が寝てるまぶたの上に目なんて書いて…しかも妙にリアルだし……
 ……ついでにおでこには『肉』って書いてあるし……これ、油性のマジックだったら
 なかなか落ちないよ………」

.

48 :木多娘。 :02/01/10 09:29

なんとなく更新。たまに自分で読み返してみると「なんでこんなもん書いてんだろ…」と
鬱になりかかりますが、それは忘れることにしたい。

>>32
マヨネーズは邪道ですか…。
私の場合はなんでもマヨネーズを使ってしまうので(米には醤油 or ソースですが)
……と思ったら、
>>33
同士発見! いやー、やっぱマヨ+醤油+七味派の組み合わせですよねえ。
というわけで邪道なのは>>32さんで決定ということになりました。
2対1です。過半数です。これは民主主義国家日本に住んでいる限り覆すことの
できない決まりなのです。
まあ、民主主義=多数決って考えもちょっとアレですけど。

あと、ある日パッタリと更新が無くなったりしたら、そのときは
ネタが切れたか、道端でのたれ氏んでるか、親友だと思っていた人間に
裏切られて外人部隊に入隊させられたかのどれかを疑ってみてください。
んではまた、次の更新があればそのときに。てきとーで申し訳。

49 :名無し娘。 :02/01/12 22:07
>48
エリア88に入隊ですか?アスランの平和でも守るんですか?

50 :名無し娘。 :02/01/21 20:07
>>49
そしてカレンダーに除隊日の印を付けて日々更新の事を思って過ごすのでしょうね。

51 :名無しさん :02/01/23 17:58
http://big.freett.com/saruminimoni/mrmoon_001.exe

52 :名無し娘。 :02/02/08 04:55
ほぜむ。と逝ってみるテスト

53 :名無し娘。 :02/02/17 00:53
木多康昭もマガジンに復活した事だし、
そろそろこっちも更新してほしい、とか言ってみたり

54 :木多娘。 :02/02/21 15:58

「………あ」

安倍さんがふと、何かに気付いたように俯いていた顔を上げ、
矢口さんに尋ねた。

「ね、他の人達は…?」
「ああ……とりあえず食堂の方で待ってるように言ってきたから」
「そっか……よかった、これ以上他のメンバーに圭織のこんな姿見られたら
 リーダーとしての示しがつかないもんね…」

はたして現在、リーダーとしての威厳は飯田さんにあるのか、
いや、それ以前に始めっからリーダーとしての威厳なんてものが存在したのかは
甚だ疑問であったが、私はそれを胸の内に秘め、さらに彼女達の会話に耳を
傾けることにした。

いや、よく考えてみたら飯田さんも20歳になったばかりだ。まだまだこれからなのである。
とにかく、ワンパクでもいい、たくましく育ってほしいものだ…。

そう願わずにはいられない、辻希美14歳、第2次反抗期真っ只中のある日であった。

55 :木多娘。 :02/02/21 15:59

「……で、この落書き、どうすんの? 油性か水性か、ちょっと見た感じじゃ
 わかんないけど……どっちにしても落とすのには骨が折れそうだよ?」

矢口さんが他の面々に向かって言った。
私も「これ、タワシでこすったらいいかなあ。でもそんなことしたら、また飯田さんの
目尻に小じわが増えることになってしまわないかなあ」と、見当外れの心配を
していたのだが、そのとき紺野ちゃんがパァァ…と顔を輝かせ、ポケットから何かを
取り出した。何やら小さな四角形の包装に包まれた薄い銀色のもののようだ。
それを見て、私はカァッと顔に血が昇り、
「ちょ、ちょちょちょちょっと、ここ紺野ちゃん! こ、こんなところにここコンドー…」
と、うわずった口調で叫びそうになったのだが、
「エナメルリムーバーです」
続く紺野ちゃんの言葉に、慌てて口をおさえた。
また先走ってしまったようだ……反省反省。

「…マニキュアの除光液なんて…何に使うの?」
ちょっとだけ首を傾げ、安倍さんが訊ねた。
なるほど、エナメルリムーバーとはマニキュアの除光液のことであったか。
普段、爪は食用と決めているためにそれを知らなかった私は思わず、
「なにそれ? アメーバーの仲間? それともあれ? リメンバーパールハーバー?」
などと、もう少しで発言してしまうところだった。
危ない…。もしもここで口を滑らせようものなら、さっきのと合わせてダブルで
墓穴を掘ってしまっていただろう。

そういえば、『ダブルで墓穴でWボケ』そんな名言を世に残したのは
かの有名な伊藤カイジであっただろうか。まあそんなことはここではどうでもよいのだが。

56 :木多娘。 :02/02/21 15:59

「これでこするとですね……なんと! 油性ペンでも落とすことができるのです」
紺野ちゃんが続ける。

「へぇ、紺野は物知りだねぇ」
安倍さんが、ちょっと感心したように言った。
「そ、そんなこと常識じゃない。なっちも女の子なら…」
矢口さんの言葉は、いかにも“私は前から知っていた”と
言わんばかりであったが、その上ずった口調、まるで
止まったら死んでしまうマグロのように泳ぎ続ける目を見れば、
彼女が嘘をついていることは明白であった。
私の観察眼を侮ってもらっては困るというものだ。

だがそこで、矢口さんの
「ね、辻ももちろん知ってたよねっ」
というフリに、思わず
「…あ、あったり前田のクラッカーですたい!」
そう答えてしまった。
すぐに自己嫌悪の念が私を支配した。


『……嘘も方便……だよね』
私の中に存在する脳内Gacktさん(御年 33歳)が豪奢な椅子にやや浅めに腰をかけ、
ワイングラスを鉛直25度に傾けている。

(そう、人のためにつく嘘…人を傷付けないための嘘……きっと、
 これがそうなんだよね……)
自分自身にそう言い聞かせ、胸を軽くトン、とたたく。
もう大丈夫。明日からはまた、いつも通りの私――。


…だがしかし、いくら慌てていたとはいえ何故あそこであのような
使い古されたダジャレを吐いてしまったのか、そして何故、語尾が
西郷さんライクになってしまったのか――

それが私の人生において永遠の命題となることは確実であるように思われた。

57 :木多娘。 :02/02/21 16:00

自身の内へ向けられていた意識を現実へと戻す。
ふと見ると、安倍さんのなっちスマイルに応え、紺野ちゃんも
やや引きつり気味の照れ笑いを浮かべていた。だが、

「…生活の知恵子ちゃんって呼んでくださいっ、えへっ」
(……!)

私は彼女の言葉に強い衝撃を受けた。
確か彼女は――14歳。私と同い年のはずだ。
その彼女が14年間の人生において、『紺野あさ美』の他にも
違う名前(もしくは源氏名?)で呼ばれたことがあったのだろうか。

さっきまでの脳内Gacktさんは霧のように姿を消し、
そして代わりに私の内を支配したのは左とん平氏だった。

――ヘイ ユウ! ヘイユウ ワッチュユアネイム!! 名前を名乗れ…!
    お前は誰なんだUhh! お前は誰だ!! 誰だァッ!!!――

彼が『とん平のヘイ・ユウ・ブルース』で魂のシャウトを響かせる。
…そういえば、その歌詞の中に『人生はすりこぎだ』というくだりがあった。

――すり減っちまって短くなったすりこぎを誰が拾うもんか
    すりこぎは働けば働くほどすり減るんだよ
      すり減って、みそをつけて死んじまうんだ――

もしかしたら私も、いや、モーニング娘。自体、すりこぎのようなもの
なのかもしれない。働いて、働いて、働いて、そして、いずれ皆から忘れ去られ――

…いや、やめておこう。今はこのようなことを考えるべきではないのだ。

とりあえず、おふくろのオッパイの味は覚えていないし、捨てた女ではないが
よっすぃーのホクロの数も覚えていない。だがまあ、よしとした。
ポジティブで行くことにしよう。

ワッチュユアネイム!!

                                     .

58 :木多娘。 :02/02/21 16:01

気がつくと、すでに紺野ちゃんは先ほどのエナメルリムーバーとやらを
使い、飯田さんの顔に描かれた落書きを落としにかかっていた。

表情を覗いてみる。
…笑っていた。
その笑顔は、まるで生まれたばかりの赤子を産湯で
清めてゆく産婆のように優しく――だが、それはやや
不自然であるかのようにも思われた。

少しだけ彼女に近づく。
彼女は――隣りの安倍さんと言葉を交わしている?
一体何を話しているのだろうか…。
私はその会話に耳を傾けた。

「……なんか飯田さん……ちょっとかわいい……」
「…そ、そうかなぁ? このペイントがぁ…?」
「さっきは驚いて思わず悲鳴を上げちゃったけど……これ、よく見てみると、
 ある意味、逆にピンポンですよね……」

何故に憲武…!?
彼女――紺野ちゃんはとんねるずに対して何か含みでもあるのだろうか?
それは近年個人の活動が多く、一見バラエティー番組等で
相方よりも多くの仕事をこなし、充実した人生を送っているようにも見える
石橋氏へのアンチテーゼなのか、それとも――

私には彼女の真意を量ることはできない。
だが、ただ一つ言えることは、いくらそのペイントが紺野ちゃんの
好みに合ったとはいえ、私の飯田さんを汚したことはやはり許されないということだ。
胸の内に一つの決心が芽生えていた。
自分でも気づかぬうちに、それが言葉として口から吐き出されてゆく。

「…飯田さんの顔にペイントした真犯人、地獄の漫☆F画太郎は
 必ず私が見つけ出してみせる! お姉ちゃんの名にかけて…!」
「……あのガングロ姉ちゃんの?」
「い、いや、今はもう白くなってるし…それに矢口さんだって昔は目指してたじゃ
 ないですか、コギャル……」
「そ、それはもう昔の話だし…ねえ……」


――それぞれの思いが交錯する中、雨はただひたすらに荒々しい音楽を奏でていた。

.

59 :木多娘。 :02/02/21 16:01

更新れす…。放置41日…。
あと1.195日遅れたらフル放置になってしまうところでした。危ない危ない…。

>>49
ええ、気合を入れていったはいいのですが、ミッキーにぶん殴られたので
いじけて戻ってきました。残念です。
>>50
せっかくカレンダーも持っていったにもかかわらず、やはり
無駄になってしまいました。残(略
>>51
あの、消えちゃってるみたいです…。もしよろしければ補完お願いします。
ちゃんと捨てハンを使わずにお礼を全角30文字以上でしますので。
>>52
ほぜむありがとうございます。と煎ってみるテスト。
>>53
そうみたいですね。でも私は単行本派なんです。
というか、単行本にならないかも、とかいう噂を小耳にはさみ少し心配なのです。


――あのレースを最後に現役を引退し、チームの指導に専念する飯田。
それに応えてメキメキと腕を上げ、とうとうF1の道へと歩き出す加護。
3年後、トップでチェッカーフラッグをくぐり、表彰台へと向かう加護の視線の先には
ふっくらと女性らしく丸みを帯びたお腹を抱える辻の姿があった……。
次回、『ロケットでぶっとばさない』

ウソ。ごめんなさい。

60 :三村 :02/02/21 22:26
>>59
キユかよ!

61 :木多娘。 :02/03/02 21:35

やがて飯田さんの顔に描かれた落書きがすべて拭き取られた。

いつもに比べると、やけに饒舌で、30秒に一度は言葉の間に「CUTE!」の単語
(私には「キュチィ」と聞こえたが、きっと「CUTE」のことなのだろう)を
挟む紺野ちゃんと、少々困り気味にではあったが合鎚を打ち続ける安倍さん。
それとは対照的に、いまだベッドの上で静かに眠り続けている飯田さん。

矢口さんと並んで立つ私は、悪戯した犯人のことを考えながら
その光景をしばらく眺めていたのだけれど、そのとき急にグルルと
悲鳴を上げた自分の腹に思考を中断せざるをえなかった。

そういえばまだ朝食をとっていないのだった。
急いては事を仕損じるとも言うではないか。ましてや犯人探しは
後でもできるが、食事には食べ時というものがあり
それは時間を待ってくれない。

考えるのは後回しにして、まずは朝食をとることが先決だという結論に達した。

62 :木多娘。 :02/03/02 21:36

すっかりきれいになった飯田さん(もちろんノーメイクであり、いつもより
隈は目立っているのだが、それほど気にすることはないだろう)を起こし、
食堂への廊下を進む。

「…それにしても圭織が寝坊なんて珍しいねぇ、なっちならともかく」
ややからかい半分な口調で言った矢口さんに、すかさず
「ちょっとそれ、どういう意味さー」と少し頬を膨らまして反論する安倍さん。
もちろんそういう意味だ。

「ああ…昨日の夜ちょっとお酒飲んじゃってさ……」
「ふーん……ま、お酒もほどほどにね。圭織、あまり強くないんだから」
「うん…わかった〜…」
半分は、昨日あまり羽目を外さないようにと言ったのは自分ではないか、と
少々呆れながらも、もう半分の私は「その場に同席したかった」という
思いに駆られていた。

以前に一度だけ見たことのある、アルコールの回った飯田さん。
普段よりもグッと色気が増し、隣りに人がいればその肩にしなだれかかってしまう
艶かしい姿は、同性の私が見ても思わずドキッとしてしまうほどだ。
そう、例えるならば……柳の下に立つ着物姿の幽霊、略して
柳ユーレイといったところだろうか。
無論たけし軍団とは、思わず吹き出してしまいそうなほどに全く関係が無い。

63 :木多娘。 :02/03/02 21:36

食堂のドアをくぐる直前、飯田さんを除く4人で、視線を交し合う。
“さっきの悲鳴は、紺野が飯田の突然の寝言にビックリして悲鳴を上げてしまった”
そんなシナリオが、4人の間で(もちろん彼女が目を覚ます前にだ)
決められていた。いつものように、ちょっと人と変わった行動をした飯田さんに、
まだ慣れていない紺野ちゃんが、つい声をあげてしまった。そんな他愛も無いお話。
これがきっと、最も自然であろう(飯田さんにはちょっとだけ悪いけどね。
でも、彼女の名誉を守るためだから)


やがて、朝食も無事終了し(私達の目論見は見事に成功した。誰も
飯田さんの部屋で起こった出来事など知る由もない)その後、
各々、好きに過ごしてよいことになった。
保田さんが事務所に電話を入れたところ、今日も台風のために
スタッフ達はここへ来れないということらしい。やはり初日に飯田さんが
言っていたように隠しカメラが仕掛けられており、私達の素の姿を
映すのが目的なのではないか。そのような考えが一瞬脳裏をよぎったが、
窓の外は昨日にも増してその強さを増した嵐が存分にその暴力を振るっており、
電話の言葉もあながち嘘ではないように思われた。

64 :木多娘。 :02/03/02 21:37

食事の後、広間に置かれた大きめのソファの上で窓の外を眺める
私の隣りに、後藤さんがドサッと音を立てて腰を沈めた。
少々古いデザインながらも、きっと当時は高価であっただろう
そのソファは彼女の体を拒むことなく優しく包み込み(うちに
置いてあるものとは大違いだ! あれに勢いよく飛びこもうものなら
きっと耳障りなスプリングの音とともに、もれなく腰を痛めるという
オマケがついてくる)心地良い休息を提供していた。

「ん〜…なーんか困ったことになっちゃったねぇ」
そう言いながらも、彼女はあまり困ってない様子。
いつもライブの直前に見せる、緊張感のある表情とは正反対な
その揺るんだ(失礼な言い方だが)顔がそれを物語っている。
まあ、今のセリフを「ゴマったなあ」と愛想笑いの一つでも浮かべてみたり、
もしくは「ショマったなあ」と体をくねらせたりでもしてみれば、
ただでさえ多い彼女のファンはさらに増加すること間違い無しなのだろうけど。

へへっと笑い、私に語りかけてくる後藤さんの顔。
普段、実年齢よりもずっと大人びて見られる彼女。
けれど、そんな後藤さんの持っている、まだまだ10代の子供
――自分はそれよりさらに年下なのだけど――の面。
私は、いつか目にしたあの日のことを思い出していた。

.

65 :木多娘。 :02/03/02 21:37

――――

『…………なんだよねぇ』

――空き部屋であるはずのところから声が聞こえてくる。
自分で言うのもなんだけど、好奇心の塊のような年頃であった私は、
思わず開きかけのドアの隙間からその中を覗きこんだ。

『……だからさぁ』

そこに居たのは、市井さんと後藤さんの2人だった。

ほほぅこれが世に言う“いちごま”というやつであるか、どれ、年頃の2人が
ちちくりあっている姿をひとつ鑑賞させていただこう。そう思い、
私は部屋の中――隙間から頼りなさげに漏れてくる、ドアの向こうの世界を覗いていた。

大きめのソファの上で、楽しげに会話を重ねる2人。
普段、あまり見せることのない後藤さんに子供のような笑顔を作らせていたのは
市井さんの傍から見れば妙に歯の浮くような、格好をつけた言葉(まあ、私はある意味、
外界に存在した第3者であったからそう感じたのかもしれないけど?)だった。

66 :木多娘。 :02/03/02 21:38

他愛の無い会話(けど、聞く人によっては十分に愛を感じさせるものかもしれない)、
軽いスキンシップ(これもきっと、同じだろうね)を続ける2人と、
まるで、テレビドラマでも見ているかのように(ああ、隣りにスナック菓子でも
置いてあれば完璧だったかも)やけに現実感を喪失してその光景を眺め続ける私。

――お嬢さん、覗きとはあまりよろしい趣味ではありません。
   狼の食事は、そろそろクライマックスへと移るのです。
   メインディッシュは、出来たてストロベリー・パイのように
   愛らしい赤ずきん。ここから先の見物料は、あなた自身をもって払――

ついさっきよりも互いの距離を縮めていた2人の行為に
そんなセリフを投げかけられたような気がして――もちろんそんなこと、
あるはずもないのだけど――私はふと我に返り、それ以上の
盗み見から視線を外してその場から逃げ出すように立ち去った。

67 :木多娘。 :02/03/02 21:38

その後、少しして市井さんはモーニングを卒業し、後藤さんは
また無表情でいる時間が増えた。だが時の流れは優しく、
またある意味残酷に、思い出と呼ばれる記憶を忘却の小船に乗せ
過去へと向けてゆっくりと、ゆっくりと、押し流してゆく。

やがて後藤さんにもまた笑顔が戻り――もっとも、あの日
私が見たようなものではなかったけれど――最近は
「ごっちん、よく笑うようになったね」と言われることも
多くなってきていた。その中でも、よっすぃーの存在が
もしかすれば大きかったのかもしれない。

68 :木多娘。 :02/03/02 21:38

そしてつい先日。
長い沈黙を破り芸能界に戻ってきた市井さんには
以前のような覇気は感じられず(少なくとも、私が見る限り)
いたって普通の少女、といった印象を受けた。

収録中、軽くメンバーの表情を伺ってみる。
保田さん、矢口さんは、それこそ満面の笑み――というか
抑えようとしても抑えきれず、つい漏れてしまう笑顔?をしていた。
それに比べると、あまり表情を変えず、淡々と場を過ごす後藤さん。
見ようによっては不機嫌であるかのようにもとれる表情を
しているよっすぃー。
そんな彼女達を眺めながら、私は「ああ、またこれを見た
ファンの人達の間で様々な憶測が流れるのだろうなあ」なんてことを
考えて(だってそうでしょう? 同じメンバーの私でさえも、
少しだけではあるけれど、そのように思っていたのだから)いた。

ねぇよっすぃー。よっすぃーは見事、狼の腹を掻っ捌いて、
赤ずきんを助け出した狩人になることができた?
それとも、ペローの物語のように最初から狩人なんて
存在しなかったの――? なんて。
そんなこと、私が考えること自体どうかと思うし、
そんなこと、私が考えていることなんておくびにも出さず、
ただいつも通りに収録をこなしていたのだけれど。

69 :木多娘。 :02/03/02 21:39

――――

「…………つじ〜? お〜い。どした〜?」
…後藤さんが私の目のすぐ前で手を振っていた。

――またつまらないことまで思い出して。悪い癖。

「な〜んか、圭織と一緒にいるうちに交信するとこまで
 似てきちゃったんじゃない?」

「…ちょっとー、後藤、それめっちゃ失礼だべさー」
後藤さんの言葉に、何時の間にか近くに立っていた飯田さんが
だべさ語で反論する。
ある意味正解だけれども、それはあまり認めたくないところだ。
ついでに、若さ故の過ちでもない。…と、思いたい。
もう、クワトロ大尉よろしくグラサンをひっかけて
あの有名なセリフでも吐きたいところではあったが、
そんなこともできないので、私は少々むきになって言い訳を考えた。そして、

「えーと……朝食のデザートにぃ、アロエヨーグルトなんてあったらなぁ…って」

…さんざん脳みそを回転させたあげく、出てきたのがこの言葉である。
我ながら情けない。もうちょっとマシなセリフが出てこないのかと小一時間…
「あはは……あ、でもアロエヨーグルト、確か冷蔵庫の中に入ってたよ〜?
 どうせ事務所かどっかが用意したものなんだし、食べちゃっていいんじゃない?」
「えっ!?」
「あ…辻、ちょっと…よだれ……」
「えっ!?」
「はは……ほら、よだれ拭いて…ヨーグルト、食べてきな」
「へ、へいっ!」

返事と同時に、私は台所へと走り出していた。心の中では、
「何故垂れてしまったのさ! よだれのバカッ!バカッ!
よだれ、あな憎し!」などとよだれに対して悪態をつきながら。

ああ、最も罪深きはアロエヨーグルト。
もちろん地獄の漫☆F画太郎なんてものは、とうの昔に忘れ去られていた。
.

70 :木多娘。 :02/03/02 21:40

結局その日は、これといってたいした出来事も無く1日が過ぎていった。
こんな楽な仕事なら大歓迎だと思う反面、こんなことで本当に
いいのだろうかと思う自分もいたが、まあたまにはいいか、と
ゆっくり休ませてもらっていた。

その夜。
適当な頃合いを見計らって浴場へと行く。
もちろん、今夜もあいぼんと一緒だ。
幸い昨日のメンバーとは違い、中に入っていたのは
紺野ちゃんと高橋ちゃんという新メン2人だったので
それほど気にすることもなく入浴することができた。

穏やかに流れて行く時間。

だが、頭、顔、体と順に洗っていき、そして熱い湯船に身を委ねて
少しまどろみかけていたとき、それは起こった。

71 :木多娘。 :02/03/02 21:40

「――きゃあっ!」

少し離れたところ――といっても浴場の中であるが――で
短い悲鳴があがった。

長時間湯船につかっていた私の頭はすぐには状況を把握することが
できなくて、まず自分の隣りに視線を向け「…ああ、あいぼんは
ここにいるから……じゃあ悲鳴は残り2人のどちらかだなあ……」
なんて判断をしてから、ゆったりと湯船から身を乗り出し
声の方へと向かっていった。

湯気の向こうでわなわなと肩を震わせていたのは……高橋ちゃん。
その周辺を見回してみるも、別に血も出てなければ、ましてや
蛇口から髪の毛が流れ出てきたなんてこともない。

「……どうしたの?」
私の声に振り向く彼女の顔はビックリしているのか、それとも恐怖に
歪んでいるのか俄かに判断できなくて(これも、のぼせていたせいか?)
もう一度「何かあったの?」と、語りかけると彼女は少々うわずり気味ではあったが、
静かに口を開き始めた。

72 :木多娘。 :02/03/02 21:41

「これ……」

これ…ボディーソープ? ここには置いてないやつだから……自分で
持ってきたやつか…。なんか、太陽の恵みがどうの、とか書いてある。
「それが…どうかしたの?」
「わ、わたし…いつもこれ使うって決めてるのに……それなのに!
 何時の間にか容器の中身がビオレのしっとりクリームinに入れ変えられて
 たんです! わたしこれ嫌いなのに…! なんでっ……なんでっ!?」
「ちょ、ちょっと落ちついて…」
未だ興奮覚めやらぬその肩に軽く手をのせ、落ちつかせようとする私は
まさに、かたはらいたし、という心境であった。
もちろん「ちゃんちゃらおかしい」とかいう意味ではなく、古文でいうところの
「気の毒だ」という意味、つまり「傍ら痛し」の方だ。まあ常識だ。

チラとあいぼんの表情を見ると、彼女は半目になり軽く溜め息を
ついたようだった。「その顔は…片腹痛しの方ではないか?」と、
一瞬疑いそうになったものの、すぐに「考えすぎだ」と首を振った。
人間誰しも持っているコダワリというものを、あいぼんが
理解してないはずはない、と思ったのだ。

73 :木多娘。 :02/03/02 21:41

そのとき私の視界に、俄かに別の腕が伸びてきた。
腕の主に目を向けるとそれは紺野ちゃんで、伸ばした先には
ちょうど同じもの――高橋ちゃんの持っていたボディーソープと
同じ容器が握られていた。
「愛ちゃん大丈夫……わたしも同じの、持ってきてたから…これ、使って?」
「えっ…本当にいいの?」
顔を手で覆って俯いていた高橋ちゃんがハッとそちらを振り返る。
「当たり前だよ……友達じゃない」
にっこりという微笑みとともに、それが彼女へと渡された。
「あっ…ありがとっ! 本当にありがとっ!」
しきりにお礼を繰り返す彼女の言葉は、ほんの少しだけ福井弁風になっていた。

私はまた湯船に戻り、少し冷えた体を温め直しながら2人の様子を眺めていた。
ニコニコしながら片方が話しかければ、それに笑顔で返すもう一方。
その光景を見ながら、“微笑みがえし”という単語が頭の中に浮かんできたが、
よくよく考えればこの歌は卒業もしくは別れの歌であり、この場には
全く以ってふさわしくないので、すぐに思考の外へと追いやった。

74 :木多娘。 :02/03/02 21:42

その後は何事もなかったように入浴タイムが終了し、
私はあいぼんと2人で自分達の部屋へと戻った。

まだ乾ききってない髪をタオルに包みながら
風呂上りのいちごブリックを楽しんでいると、
「のの〜、あんまジュース飲み過ぎて、夜中におもらししても知らへんで〜?」
あいぼんが悪戯っぽい笑みを浮かべながら言った。

どうも彼女は私に夜尿症のケがあると思っている節があるようだ。
以前にも、楽屋で「しーこいこい、しーこいこい」なんて呪文を唱えられた
ときなどは半ギレ状態にもなりかかったが、まあここで怒るのも
大人気無いと思い、笑って済ますことにした。もちろん、今日も同じように、
「そんなことないよ〜」と、ふざけながら反論する。
長年付き合ってきて、これも彼女なりのコミュニケーションの取り方なのだと
わかっているために、それほど腹も立たなかった。

結局、今晩はどこの部屋にも遊びに行かず、早めに寝ることにして、
お互い自分のベッドへともぐりこんだ。
.

75 :木多娘。 :02/03/02 21:42

――――

「――おい、そんなとこで何やってんだよ?」

え……?

ここ…どこだろう?
目の前でベッドに寝転がっているのは……誰だ?
ええと――ああ、確か、薬用ビューネ君だかだっけ。
ちゃんとした名前はちょっと思い出せない。

「何ぼやっとしてんだ? 早く――」

はだけたシャツの彼が、ベッドから軽くその身を起こす。

「―――――」

私も何か喋っているみたいだけど――
なんて言ってるのだろう。自分の言葉であるにもかかわらず、
全くその内容を把握することができない。

「……ったく……」

また、彼が口を開いたようだった。
何故か私は視線を外す。

ふと顔を背けた先にあった鏡台に映るその姿は……安倍さん。
安倍なつみその人であった――。

.

76 :木多娘。 :02/03/02 21:43

――――

「…………のの……、のの…?」

「――はぁっ、はぁっ……え……あ…ああ……」

「ちょっとのの……どないしたん? なんや、うなされとったみたいやで?
 寝言もめっちゃ言うとったし…」
「…あ、ああ……ちょっと、夢、見てたみたい……」
「こないに汗かいて……一体どんな夢見とったん?」
「……寝言、なんて言ってた?」
「ん〜と、確か……
 『伯方で! 塩は伯方って決めてるの! ポテチだって、塩揉みダイエットだって…』とか、
 『ちょっと待った! 反則! ゴキブリカー使うの反則だって!』とか、あと、
 『なんで選手データに伊藤智仁が入ってねーんだよ!? うそ、これ、95’開幕版?
   一体何年前のやつだよ!』とか……」
「……あっそう」
「…ホンマにどないな夢見てんねんな……」
「…ん……あんま覚えてないけど、多分そんな夢……」
「はぁ……」

そこで彼女との会話が途切れてしまい、何故か居心地の悪さを感じた私は
「ちょっとトイレ…」とだけ言うと、掛布団を足元に除けて、
ベッドから立ちあがった。

「なんや、せやからあまりジュース飲まん方がええ言うたのに…」
あいぼんが少し笑いながら言う。
私も「へへ…」と苦笑を浮かべ、トイレへと向かった。

――あまり深く考えない方がいい。
少しふらつく体を足で支えながら、そう思った。

絶えず耳に流れてくる、くぐもった雨風の声は、
明日も嵐がおさまらないことを予言しているかのようだった。

                                        .

77 :木多娘。(レスれす) :02/03/02 21:45

はいどうも。今日は自腹で北は国後島、今噂の友好の家、
通称ムネオハウスに来て更新をしているわけなんですけどもね。
とりあえずここ……寒いわ。わし、北国やからこそごっつ温い部屋で
迎えてくれる思っとったんやけど……ここ、寒いわ。
あんま寒いからもうね、あったまきて。わし、言うたったで。
「お前、ここは常磐ロシアか!」と。
そしたら、隣りにいた兄ちゃんが何を勘違いしたのか
ピロシキなんて持ってくるねん。んなもん頼んでないっちゅうねん。
なんやもう……あいつ、きっとパンツグダグダやと思うわ。

>>60
よーし、パパ狩板のキユ目指しちゃうぞー。
もちろん情景描写なんて一切しないしできないし、
伏線なんて一本たりとも張りません。いや、張れません。力不足です。
そんで、10レスで見事打ち切り。これ最強。


…ちゅうわけで今日は星5つのところが、星一徹でちゃぶ台返しやね。
正直、次の更新はプーチンの書簡待ちや。

それじゃ、また次回ー。

78 :名無し娘。 :02/03/02 22:04
キユキタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━ !!!!!

79 :名無し娘。 :02/03/04 01:36
早めの続ききぼんぬ
とプレッシャーを掛けてみるテ(略

80 :名無し娘。 :02/03/22 05:55
(´-`).。oO(密かに待ってるよ。。。)

81 :木多娘。 :02/03/23 10:01

>>78
やはりキユというからには、更新する度に同じ板の人に語りかけなきゃ
ならないでしょうか。「〜ですよね、ボ○先生!」とか。
…申し訳。
>>79
このプレッシャーは79さんがニュータイプなためでしょうか。
…いや、申し(略
>80
どもです。私も密かに更新を待ってみたいと思います。
……いや、自分のことか。

 あと、こんなスレを覗いてくださってる世にも奇特な方々へ。
諸事情によりまだちょっと更新できないっぽいです(といってももうすでに
3週間ほど間が空いてますが)
理由は、作者取材のため……ではなく、ましてや作者急病のためでもなく、
明日からしばらくネットに繋げなくなりそうなのです。多分やけど……。
決してネタが尽きたから逃走しようとか(もうネタ無いけど)
ちょっと睡眠時間を増やしたいとか(寝不足気味だけど)
そういうわけではありませんです、はい。

というわけで、次はいつになるかわかりませんが、
また次回お会いしましょう。いや、できるかなあ。
はあ、めっちゃ悩むわ……。



……向こうの人、スマソ(w

82 :名無し娘。 :02/03/23 21:05
>>81
じゃあ保全しときましょうか。

83 :名無し娘。 :02/03/24 04:02
狩で「大人の事情」というヤツを見る事になるとは(w

84 :名無し娘。 :02/04/10 20:16
age

85 :木多娘。 :02/04/20 00:29

更新が 無いねと君が言ったから 4月20日は放置記念日


はいどーもー。すっかり放置が板についたダメ作者でーす。
もう毎日毎日、忙しくないのに忙しいふりを……いや、忙しいぞ!
本当に! 嘘じゃない! 本当だ! 信じてくれ! ビリーブミー!

>>82
保全ありがとうございます。その優しさが身に染みます。
ハイターじゃ落ちないくらいです。
>>83
木:「私はねえ、大人なんかじゃないよ」
83:「…は?」
木:「私はねえ、クールなんかでもないよ」
83:「はぁ?」
木:「私はねえ、子供なんだよ」
83:「氏ね」
>>84
板がトンだときですね。ありがとうございます。


本編、進んでないんですが、2回続けてレスだけってのもアレなんで
昔書いてボツにした短編とくだらないネタでお茶を濁してみるテスト。
まあ、ボツネタですからあまり内容は……

それじゃ、どぞ。

86 :木多娘。 :02/04/20 00:30


( ´D`) <『ボツといっしょ』……しょ……しょ……

87 :木多娘。 :02/04/20 00:31


   『処女なのにジョジョのフリをする後藤』



       /|
    / /|_
    |↑   /   <処女じゃねEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!!!!!
    |´Д `/_
    ヽ_/\_/ヽ
     /- _ -\/
     /ヽ/ ヨ\ |
     | |\  ヨ \
     | / - \  ヨ ゝ
    ゝ- - /  /
   /-. ξ_ /(
  /三三 /:;:;:;::ノ
 |三三/|:;:;::;:; /
 |三三  \];::;;;\
⊂三 |   \:;:;: \
//|_/    ⊂:;   |
 ̄ ̄       / /
           ̄
                                      .

88 :木多娘。 :02/04/20 00:31


   『嘘でしょ嘘だって言ってよ矢口さん』



ヤグチサン…ニャンニャンシャシンッテ
 ノノノハヽ ウソデスヨネ…?   ノノノハヽ
 (;0^〜^)          煤i;〜^◇^)
 (    つ□           (    )
 (_)_)             (_)_)




何で黙ってるんですか!
嘘だって言ってくださいよォ!!
  ∨
 ノノノハヽ  ノノノハヽ
 (;0T〜T) (;〜^◇^) <…………
 (    つ (    )
 (_)_)  (_)_)


                                    .

89 :木多娘。 :02/04/20 00:33


ラブラブ〜                   煤i^◇^〜;)
〜(ё)                              <な、なんだ!?
  〜(ё)                   煤i^〜^0;)
〜(ё) ンー!!
  〜(ё)
   ンー!!



                                     ンー!! ンー!!
                          〜(ё) 〜(ё)〜(ё) 〜(ё) 〜(ё)
                        〜(ё) 〜(ё) 〜(ё) 〜(ё);0^〜^)<ワァー!!
                          〜(ё) 〜(ё) 〜(ё) 〜(ё)
                           〜(ё)  〜(ё) 〜(ё);〜^◇^)<タスケテー!!
                         〜(ё) 〜(ё)  〜(ё)  〜(ё)
                                            ラブラブー



…彼女達は「ん」を管理する者。
このしりとりを終わらせないため
「ん」の付く者、人、行為、全てを排除するのだ。

                                         .

90 :木多娘。 :02/04/20 00:34


   『処女なのにジョジョのフリをする後藤』



       /|
    / /|_
    |↑   /   <処女じゃねEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!!!!!
    |´Д `/_
    ヽ_/\_/ヽ
     /- _ -\/
     /ヽ/ ヨ\ |
     | |\  ヨ \
     | / - \  ヨ ゝ
    ゝ- - /  /
   /-. ξ_ /(
  /三三 /:;:;:;::ノ
 |三三/|:;:;::;:; /
 |三三  \];::;;;\
⊂三 |   \:;:;: \
//|_/    ⊂:;   |
 ̄ ̄       / /
           ̄
                                    .

91 :木多娘。 :02/04/20 00:35


   『ウソツキは泥棒の始まり』



( ^▽^)<ねぇ、あのさ〜…
( ´D`)<どろぼう! どろぼうれす!!
@  @
( ‘д‘)<さっさと去ね!ヴォケが!!

( T▽T)<なによぉ……わたし、まだ何にも言ってないじゃない……

                                           .

92 :木多娘。 :02/04/20 00:35


   『梨華美、負けない』



( ^▽^) <さ〜て、今日も1日ポジティ……


ドカッ! バキッ! グシャッ!

( T▽T) <ううっ……でも、梨華美、負けな…


ドシュッ! ボキボキッ!! ボゴォッッ!!!

(メ∴▽T) <そ…それでも…り、かみ……まけない……

                                      .

93 :木多娘。 :02/04/20 00:36


   『イカ墨カレーライス』




                グツグツ…
                           イクラクロイカラッテ…
                       ノハヽヽ
                    ∬∬(^▽^ ;)∬∬ <ちょっと! あたしを煮こんでも
                    ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   イカ墨カレーなんてできないわよ!?
                     )         (
                   /          \
                   |            .|
                    |            .|
ジュルル…タノシミレス…       |            .|
  ノハヽヽ            |            .|
  ( ´D`)            \________./
  (つ ; つ            @@@@@@@@
  (___)__)            | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|


                                         .

94 :木多娘。 :02/04/20 00:37


   『水洗トイレ』



    |
    |                |
    |     ∩   ジャーッ ゴボゴボ……
__ノ      | |         |  _
| |         | |           / )ノ\__ヽ
ヽ二二 ヽ -―- | |        //|\ノ(◎)
_____/ /" ̄| ヽノノハヽ// .|
   /  /    /  (; ^▽^)  ̄ ̄\
   |  |/⌒゙ /      /       \
   .\ヽ__ノ__,,./。 ゚    |\   .\
     .\\::::::::::::::::: \\ ゚ ./   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       .\\::::::::::::::::: \\ | しないって言ってるのにッ!
       \\::::::::::::::::: \ .\_______
         \\_:::::::::::_) )
             ヽ-二二-―'

                                         .

95 :木多娘。 :02/04/20 00:38


   『レズッ気のある裸婦』


               (ノノハヽ
            //( `.∀´))  <ちょっとぉ! みんななんで逃げるのよぉ〜
               /´ヾ丶 /((
              /| / =@  | !)
          (. | レ,≡ヽ゚ノ |(
           ) |_/   <〉_)し
         <ノ |  !  / /(_ン
             |   / /
            | ヽ彡"
                |  |  |
      _ _ _____ 〉 / /__
    /\ヽ ヽ | | | ) 〉/ヽ、
  ノ\  \ヽ  l l | /| | / ,ヽ、
 ノ\ \  \ヽ   | | |  / /ヽ
ノ\ \ \  ヽ  / 〈| 〈   / / ヽ
\ \  ヽ  ヽ  _// し、\  /  /|
  `、ー―へ_  ´"′   `ヾ  //
   \__/|_|_|_|\_<\  _/


                                        ≡≡(〜T◇T)オエー

 オエー(T▽T )≡≡


                                             .

96 :木多娘。 :02/04/20 00:39


   『fly higher than the stars』
                                   .

97 :木多娘。 :02/04/20 00:39

数え切れないほどの星たちが空を泳ぎまわっている、ある晴れた夜のこと。
こっそりのぼったビルの上、となりには見慣れた顔が座ってる。
彼女の手にはシャボン玉のストロー。
私の手にもシャボン玉のストロー。
紡ぎ出されるまんまるは、空を目指して
ふわふわ、ふらふら、ふわふわ、ふらふら――――

98 :木多娘。 :02/04/20 00:40
 
明日の仕事はお休み。久しぶりに彼女が私のうちにお泊りすることになり
夜更かし用のおやつを買おうと入ったコンビニ、私の目にとまったのは
ちょっと派手な包装で、けれどちょっと懐かしい感じのするシャボン玉セット。

「え〜、のの、もう子供じゃないんやからぁ」
それを持った手にかけられた言葉のお供は、でも、苦笑いとかじゃなくて。
口ではそんなこと言ってるくせに実は興味しんしんって表情、私は見逃さない。

よし、買っちゃおう。
すでにおかしやジュースでいっぱいになりかけてるカゴに
シャボン玉セットを放りこんだ。

うちの窓からだとあれだから、まっすぐ帰らないで、
もう一度、ビルの方に引き返す。
ちょっとだけドキドキしながら、2人並んで屋上に。

99 :木多娘。 :02/04/20 00:41


カラフルなストローからぷくっと顔を出し、やがてその先を
離れていったまんまるは、ふわふわ、ふらふら、形を変えながら
ゆっくり空へと上ってゆく。
今晩は風があまり無いから途中でこわれることもなく、ふわふわ、ふらふら。

「……ねえあいぼん、これ、どこまで上っていくんだろうねえ」
何度目かのまんまるがストローを離れ、私が言った。

「えっ? どこまでって……」

                                        .

100 :木多娘。 :02/04/20 00:41


「―――んなもん、わからんよ」

ちょっと笑いを含んだ言葉をのせて紫色の煙が上っていった。
まだ季節は春だったから――そう、それは蚊取り線香のけむりなんかじゃなくて、
やっぱりあの人の口から上っていった、タバコの煙。
ああ、中澤さん、タバコ吸うんだ。歌を唄う人なのにタバコなんて吸っちゃ
だめですよ。そんなセリフが少しだけ浮かんだけれど、それは口には出さなくて。

「どこまで上るんやろねえ……」

私は静かに彼女の言葉を待っていた。

101 :木多娘。 :02/04/20 00:41

モーニング娘。から卒業するって聞かされて。
頭ではそのこと、わかっているんだけど、けれど、でも。
いつまでたっても涙が止まらなくって。

ちょっとだけ恥ずかしくて、誰も居ない廊下の
自動販売機の前でグズグズやってると、
そんな私の肩にポンッと誰かの手がのせられた。

「辻ちゃんどしたぁ? こんなところで」
「あ……その……」

私の肩にのせられたままのキレイなネイルアート。
さっきからずっと目をごしごしこすってばかりのフカ爪気味の手。

中澤さん、ちょっと私の顔を見つめると、フッ、と笑って
「屋上、行こっか」って。

102 :木多娘。 :02/04/20 00:42

屋上から広がった景色はもう日が暮れかけていて、
少しづつ、星がその姿をあらわしてきてる。
見上げた空、まだ完全には夜の色じゃないんだけど、でも
赤い、ともいえない、紫色…ってのも少し違って……
こういうの何色っていうんだっけ? ええっと………あ、そうだ。
ラベンダー。空の色、ラベンダーの色になっていた。

「おっ、もうこんな時間なんか…」

両腕をふわっと伸ばす中澤さん。ちょっとだけ空に向けられた表情は
伸ばした腕とおそろいみたいに、なんだかやわらかかった。
けれども私、やっぱりグズッた顔はそのまんまで。

「なんで……やめちゃうんですか?」

そんな言葉を中澤さんになげかけた。

103 :木多娘。 :02/04/20 00:42

中澤さん、ちょっぴり困ったような顔になると
「なんや、辻ちゃんがそない悲しむとは思ってもなかったわ」なんて言う。

「辻ちゃん、ウチのこと恐い言うてたやんかぁ。ん?裕ちゃん知っとるんやで?
 逆に恐いおばちゃん居なくなってスッキリするんちゃうの?」

そうやって、にやにやしながら。なんかちょっとイジワルだ。
こんなときにそんなこと言わなくてもいいのに。

「…でも……だって、中澤さんいなくなったら、いっしょにおかし食べれなく
 なっちゃうし、おひざにものっけてもらえなくなるし……」
「って、おい…ウチは辻ちゃんにとってお菓子とヒザだけの存在かい……」
「それに、あと…なかざわさんいなくなっちゃったら、モーニング、むすめ、だって……」
「ちょ、おいおい、また泣きだしよって……これじゃウチが苛めてるみたいやん。
 こんなとこ矢口に見られたら……」

だってそう。中澤さん、イジワルするから。私もちょっとだけ、
お返しのつもり。……か、どうかは実は自分でもわからなかったけれど。

104 :木多娘。 :02/04/20 00:42

「それにな、裕ちゃん、モーニングは卒業するけど、ハロプロには
 まだ残るんやで? また一緒に仕事するときだって結構あるて」
「ん……」
「……ああもう……なんちゅーか……」

そのとき中澤さん、もう一度空をチラリと見ると、
「せや、月や。ウチは月なんよ。あの空に浮かんでるお月さん。
 ああやってな、いつでも…あ、お月さんって昼間でも出てるんやで、知ってる?
 ああそう。それくらいは知っとるよな、うん。
 それでな、ああやって…ちょっと離れとるけど、いつでもみんなのこと、
 もちろん辻ちゃんのこともな、ちゃーんと見てるんやで? で、たまに
 辻ちゃんが悪さとかしとったらな、こう…お仕置きよ!ってな」
「へっ…?」
なんか、えいっ、って、ポーズ決めてる。
私、ぽかーんとしちゃって。多分口も開きっぱなし。

「……なんや、その顔」
「いや…」
「え、ええやん、美少女戦士セーラー裕ちゃんやん! 月に代わってお仕置きやん?」

なんだかそれ見てたら、中澤さんが長ーいスカートのセーラー服着て、
すっごく恐い顔で仁王立ちになってる姿が思い浮かんじゃって。
私、思わず、「プッ…」っと吹き出しちゃった。

105 :木多娘。 :02/04/20 00:43

「ちょっ、何で笑うねん! そこ笑うとこちゃうがな!」
「だってぇ……“美少女”戦士って……」
「美少女やんか! 裕ちゃん、まだまだめっっっちゃ美少女やんか!」
「え〜?」
「しっ、失礼なやっちゃなぁ! 何がおかしいんや! ポーズ?
 こうか? これならええんか!」

そうやって、今度は違うポーズをえいっ、って決める。
でもそれ、さっきよりももっと変。
私、もう笑いが止まらなくて。おなか抱えて大っきな声で
ずっと笑いっぱなし。

106 :木多娘。 :02/04/20 00:43

さんざん笑って、おなか痛くて苦しくなるほど笑い続けて。
そしたらいつのまにか、さっきの涙なんてもうどっかにとんでっちゃってた。
目の前の中澤さん、肩でゼエゼエ息してる。

「…はぁ……もうええわ……。どうせな、辻ちゃんにとってはな、
 ウチなんて……そう、結局はお菓子とヒザだけの存在なんよ……へっ……」
「あっ…いやそんな……」

グッタリと屋上の柵に寄りかかった顔は、でも、本気でイジケてるわけじゃなくて。
私はそれを確認すると、もう一度クスッって笑う。

「……今夜は星、いっぱい出とるなあ……」
「あ…はい」

気がついたら真っ暗な空に星がキラキラ輝いていた。
そういえば、こうやって空を見たの、久しぶり。
ちょっとの間それに見とれてると、ふと、私の視界の隅を煙が
ふわぁ、ってのぼってった。
中澤さんの指には、いつ取り出したのかタバコが一本。
普段、お父さんが吸ってるのよりもちょっと細長いやつ。

107 :木多娘。 :02/04/20 00:43

私、その上ってゆく煙を目で追いかけて、
「中澤さんのお月さま、一番大っきくて、いっぱい、いっぱい、光ってますねぇ」
中澤さん、上を見てる視線をちらっとこっちに降ろすと、
「そやなあ……でもま、一番大っきく見えるのは…なんや、月がこっから
 一番近いから――ホンマは他の星の方がずっと、ずっと、大きくて、
 ずっと、ずっと、高ぁーいところにあるんよ」
「ふぅん……。
 …じゃあ、この中でどれが一番高いところにあるのかなぁ……」
「ははっ、どれやろねぇ」

数え切れないくらい夜空に広がってる星を1個1個見てみるんだけど…
…んー、やっぱりわかんないや。

108 :木多娘。 :02/04/20 00:44

一番高いところにある星。そっからこっちを見おろしたら、一体何が見えるんだろう?

「……んー…何が見えるんかな……。月から見た地球は青かった、なんて
 言葉は聞いたことがあるけどなあ……」

なんか私、いつのまにか思ってたこと、口に出しちゃってたみたい。
中澤さん、夜空を見上げるとフッて息をついて、
「……もしかしたら…なっちやごっちんあたりなら、知っとるのかもなぁ……」
小さい声で、ひとり言みたいに。
「えっ?」
私、聞き返すんだけど、中澤さん、
「……はははっ、なんでもない、なんでもあらへんよ」って。
もう短くなってるタバコをもう1回、大きく吸うと、
やわらかく、ふぅって煙をはきだした。

109 :木多娘。 :02/04/20 00:44

ビルの明かりに照らされて、ゆっくり、ふわぁっ、って
煙が空へと上ってゆく。

「この煙、どこまで上っていくんでしょうねえ」
「んなもん…わからんよ」

なんだか私、その答えにちょっとだけ頬をふくらませて。
「んー…」ってすると、
「あ、いやいや、あのな、裕ちゃん、理科の時間は居眠りばっか
 しとったからな、うん…」
中澤さん、ひらひらと手をふりながら。
「どこまで上るんやろねぇ……」

「お星様のとこまで、のぼっていきますか?」
「え? …う〜ん……どやろなぁ。上の方にいけば、もっと風かて強いやろし…
 雲になってふわふわ浮かぶのかもしれんし、雨に混じってまた降りてくるのかも
 しれんし、もしかしたら……」

                                              .

110 :木多娘。 :02/04/20 00:45


「―――途中で、消えてしまうかもなあ」

あいぼん、私の顔を見ると、ちょっと困ったみたいに。

「だって、ののも学校で教わったやろ? なんやったっけ……なんとか圏?
 その…上には雲やらなんやらいっぱいあるし、鳥とかに割られちゃったり
 するかもしんないし……」
「そだね……」

そして2人とも、黙っちゃう。
隣りをチラッと見ると、あいぼんの口、少し、とんがってた。
私、慌てて、
「あ、いやいや、別に怒ったりしてないって!」
「そぅお?」
「てゆーかねぇ、一応中学生だよ? そんな、上の方には
 さっきあいぼんが言ったやつがあるのも知ってるし、
 ふつーに考えたら…」
「…じゃ、上にあるなんとか圏の名前、なんていうん?」
「えっ…? それは、その……」
「なあ、なんていうん?」
「……………けん」
「は? よく聞こえんかったけど?」
「…………ろけん」
「へぇ?」
「いろいろ圏っ!」
「…プッ、なんやそれ! そんなん、聞いたこともあらへんわ!」
「いーんだよっ! いっぱいいっぱいあるから、まとめてそう言うのっ!」
「なーんや、ののも結局知らへんのやないかぁ」
「知ってるよっ! そ、その、なんだ、ほら、あれだよ、
 来々軒とか、高倉健とか、いろいろっ」
「じゃあ何か? 空の上では料理人のおっちゃんがラーメン作ってたり
 健さんが『不器用ですから…』なんて渋いセリフ言っとったりするんか?」
「もしかしたらそうかもしんないじゃん!」
「んなアホなぁ」

111 :木多娘。 :02/04/20 00:46

さっきの重い空気の空気はどこへやら、2人して
「けん」のつく言葉、言いっこし始めて。
たまにあいぼんが、ものまねやったりして
それを見た私がまた大笑い。

結構な時間が経って、あいぼんが「ふぅ」と一息ついた。
ポケットからとり出した携帯の時間を見ると、9時40分。
もうそろそろ帰った方がいいみたい。

あいぼん、シャボン玉のストローを手にとると、
ふぅーって息を吹き込みだした。
私もストローを手にとると、
2人そろって、静かにふぅーって。
ゆっくり、静かに。
これが終わったら、おうちに帰ろうって。

112 :木多娘。 :02/04/20 00:46


目の前で少しづつ大きくなってくシャボン玉。
ゆっくり。ゆっくり。

…ねえ、もし。もしもだよ? そんなことは万に一つも
起こらないとは思うけど。もしも、ね。
このシャボン玉、こわれないで、ずっと、ずっと、空の上にのぼっていって、そして。
あのお星様まで、ううん、あのお星様よりも高くとんでいったら。
そっからは、何が見えるんだろうね?
私にはそんなこと、想像もつかないけれど――けれど。だから。

少しづつ、少しづつ、大きくなってくシャボン玉。
自分の息と、もう一つ、私の思いをほんのちょっぴり。
あまり込めすぎたら重くてとんでゆけないかもしれないから、ほんのちょっぴり。
あ、でも…もうちょっぴり、込めてみようかな?
うん、ちょっぴり+ちょっぴりで、ちょっと。
ほんの、ちょっと。

やがてシャボン玉は、フッ…とストローから離れてゆくと、
空へ向かって、ふわふわ、ふらふら。

頼りなさげに、でも少しづつ上に。
私の息と私の思いをのせたシャボン玉。
空へ向かって、星へ向かって、
ふわふわ、ふらふら、ふわふわ、ふらふら――――

                                   .

113 :木多娘。 :02/04/20 00:47

fin.

114 :名無し娘。 :02/04/20 00:47
一気に更新・・・キダ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━ムスメ!!!!!

115 :木多娘。 :02/04/20 00:49

…おそまつでした。

あ、一応言っときますけど「家庭訪問の前日、慌てて家を掃除しだす母親の心境」
とかではないですよ、今の自分。本当です。ええ。

116 :名無し娘。 :02/04/20 10:11
>>85
しつこさではパオンにも負けない自信があります。
>>87>>90
しょまスレに貼ったら?
つうか見てないんで貼ってあるのかもしれませんが。
>>96-113
木多娘。さんらしい作品ですねえ。

117 :名無し娘。 :02/04/20 23:04
きてみたら更新

えがったえがった

118 :名無し娘。 :02/04/22 02:11
ボツネタも面白い。
AAネタも面白い。

「木多娘。面白い」
これはほんまと思う。多分やけど……。

でも、本編更新されてない。やっぱり放置なんやろか。
はあ、めっちゃ悩むわ……。

119 :名無し募集中。。。 :02/05/12 12:48
保全してみる!

120 :名無し :02/05/13 02:42
今日初めて狩りに来てこのスレ読んでおもろい

121 :名無し娘。 :02/05/30 23:23
hozen

122 :名無し娘。 :02/06/05 13:12
保全

123 :名無し娘。 :02/06/10 12:01
保全

124 :木多娘。 :02/06/17 01:49

どこまでも出口の無い、無限に続くような闇の中、
にわかに私の耳へ単調なメロディーが流れ込んできた。
それは例えるなら、もうすでにシーズンの過ぎ去った海岸の寂しげな波の音。
あるいは、夜が明けるまでもう何も映すことはないテレビのホワイトノイズ。

――朝だ。

相変わらず窓から差しこまれるはずの太陽の恩恵は儚く、
そして無情な冷たさのみを地上へともたらしている。
2度目の夢は見なかった。いや、暗闇の中をさまよっていた夢を見ていたといえば
そうなのかもしれないが――
暗闇の出口は元の場所とは大して変わらない鉛色の世界だった…などという
想像をし、朝も早くから進んで気を滅入らせることもないだろう。

隣りのベッドに視線を向ける。
昨日のように私へ不安の種を植え付けてゆくようなことはせずに、
あいぼんはいまだ安らかな寝息をたてていた。
楽しい夢でも見ているのだろうか、その寝顔はどこか幸せそうな
微笑みを浮かべているようにも見える。

夜の間、寒さから身体を守ってくれていた布団へ静かに別れを告げ
彼女の側に歩み寄ると、先刻よりもはっきりとその表情が私の瞳に映し出された。
まだ多分にあどけなさが残る顔を、ふと見つめてみる。
いつの間にか外界のノイズはかき消され、空間を支配するのは彼女の寝息のみ。
私は優しく、そのほのかな薄紅色に目覚めの口付けを―――

125 :木多娘。 :02/06/17 01:49

…などと、ロマンティックな行為の1つでもやってのければ2人の間に新たな進展でも
起こるのかもしれないが、よくよく考えてみれば今までセット扱いされてきた自分達が
今更ズーレー全開のラブストーリーを突然に始めたところで小田和正氏も
コメントしにくかろうと思い、やめておいた。
だが、ここまで近くに来ておいてノーリアクションというのも、彼女の中に流れる
関西の血に対して失礼だと思ったので、とりあえずデコピンを一発喰らわしておいた。

「うっ…? ……う、う〜ん……」

眉間にしわを寄せながらも、どうやら現実への扉を開くことができたようだ。
私はそれを視認すると、そそくさと自分のベッドへ舞い戻る。

「…あー……朝、か…? ってか、なんやオデコがジンジンするんやけど……
 のの、なんかした?」
「ううん、私も今起きたばっかだし。寝てる間にどっかにぶつけたんじゃない?」
「…そかなぁ……ま、いいや」
「それより朝ご飯食べに行こーよ」
「ん……そやな……。んでも、よく朝からそないに食欲あるよなぁ……」

まだ眠たげな瞳をこすりつつも、ムクリとベッドから這い出す彼女。
私もそれに合わせると、2人並んで食堂へと向かうことにした。

蛇足であるかもしれないが一つ付け加えておくと、デコピンをしたのは、
昨日の夢の中、薬用ビューネ君に実況パワフルプロ野球でボロクソに負けた
腹いせとかでは、決して、ない。

126 :木多娘。 :02/06/17 01:50

薄暗い廊下、食堂への道を進む。
まもなく目的地の扉が目に入ってくる。
昨日はあれほど遠く感じた食堂であるのに、あっという間にたどりついた。
「こんなに短かったっけ? 廊下」と、どこか、小さい頃遊んだジャングルジムに
十数年ぶりに訪れた者にも似た感想を抱いたが、目前に控えているだろう朝食を
胃が欲すると、そんな思いはたちまち雲散霧消してしまった。

古びた扉をゆっくりと開ける。
穏やかに触れたはずなのにギギイと軋みを響かせた扉の古さに
やや閉口しつつも部屋の中を見渡すと、安倍さんが1人、暇を
持て余したように椅子についていた。
「あっ、おはよ〜!」
私達の姿をみとめてると破顔し、やや大袈裟に手を振って挨拶する。
この広いとはいえない部屋の中でそれほど手を振らずとも……と、
思うものの、それが安倍さんらしいといえば安倍さんらしく、
つい、こちらも顔がほころんでしまう。だが、続けて
「あんた達が早起きなんて珍しいね〜。雨の代わりに槍でも降ってくるんじゃない?」
という自分のことを棚に上げた無邪気な発言に、
「額に『にく』って書いてバラバラにしたろうか」という衝動が
ムクムクとこみ上げてきたものの、そんな想像はすぐに振り払って
「えへへ…」と頭をポリポリかいておいた。

一応言っておくが、別に安倍さんの顔を見て、昨日の夢の中、リッジレーサーで
薬用ビューネ君のゴキブリカーにボロクソに負けたことを思い出したわけでは
決して、ない。

127 :木多娘。 :02/06/17 01:50

気をとり直し椅子につくと
「他の人はまだですか?」
安倍さんに訊ねてみた。
「いや、もう圭ちゃんと矢口も起きてるよ。今、朝ご飯作ってるとこ。
 なんかさぁ、2人して『なっちは休んでてもいいよ』って言ってくれちゃってさあ。
 手伝おうって言っても『なっちは普段一所懸命がんばってるんだからこういうときくらい
 休んでて』って。なんか気ぃ使ってもらっちゃってるみたいで悪いんだけどねぇ」
「そーなんですかぁ…」

こういうときに休むのであれば、すでに過労死寸前、ジャパニーズ・ビジネスマンも
真っ青の働きっぷりをしている矢口さんなのでは? との疑問が浮かんだものの、
とりあえずは合鎚を打っておいた。だが、その疑問もすぐに氷解することになった。

「せっかくなっちが朝のデザートこしらえてあげようと思ったのになぁ…」

なるほど、保田さんも矢口さんもナイス判断、伊達にモーニングの屋台骨を
支えちゃいない。ここで安倍さんにデザートを作らせようものなら、
牛乳寒天とまではいかなくとも、デザートと称した得体の知れない物質が
飛び出してくること想像に難くない。普通の料理であるならまだしも、
ことデザートの腕に関して安倍さん以上に信用が無いといえば、
それは梨華ちゃんくらいのものなのだ。
隣りを見ればあいぼんも、「奥さん、それはだめだよ奥さん」と、
みのもんたを彷彿とさせるような表情を浮かべ、うんうんと頷いている。
私はというと、ここが浅草名物ゲテモノ料理屋『フクチャン』にならなかったということに
ただただ胸を撫で下ろすばかりなのであった。

128 :木多娘。 :02/06/17 01:50

やがて、時計の長針が時を刻んでいくごとにメンバーのみんなも集まり始め、
何事も起こることなく朝食が開始された。そのメニューは白米に味噌汁、
鮭の切り身に味海苔と、まさに日本の朝ご飯というものであった。
ホコホコとしたご飯をはぐはぐと食べていると、その普通の朝ご飯っぷりに思わず、
「普通だ……。本当に、普通だ……!」と、『ロング・ラブレター 〜漂流教室〜』の
窪塚洋介ばりに「普通最高!」を叫びそうになったのだが、それを実行して
あっちに逝っちゃった系の人扱いされてもこの先困るので、やめておいた。


しばらくして食事を終えると、食器洗い等、後片付けを始めることになる。
今朝は私と飯田さんがそれを担当することとなり、2人で
泡の中の食器を綺麗にしていった。
ふと後ろを見ると、ちょうどそこを通りがかった安倍さんが
ニコッと微笑んで、先刻よりは小さめに手を振っていった。
別に身長差を埋めるためではないが、飯田さんの隣りで
踏み台に上って洗い物をしている私の姿はもしかすれば
仲の良い姉妹のようにも見えたのかもしれない。
もしも、メンバーの中でおままごととかをしたら――まあ、この年になってやったりは
しないけど――きっと私と飯田さんが姉妹、安倍さんはちょっとおせっかいな
お母さん役なんだろうな、と思うと少し楽しい気持ちになり、つい笑いがこぼれてしまう。

「んー? 辻、そんなに洗い物好きだったっけ? だったらここに居る間、ずっと
 食器洗い係になってもらおっかなー」
「え〜? それはだめー」
「ちぇっ、せっかく楽できると思ったのにさー」
「もぅ〜」

面倒なはずの皿洗いも、2人で話しながらだとあっという間に終了。
全ての皿を食器棚に戻すと、少し名残惜しさすら感じながらも、
食堂を後にした。

129 :木多娘。 :02/06/17 01:50

廊下を戻る途中、あいぼんに会った。
もちろん(という言い方はおかしいが)今日もスタッフの人達は豪雨のせいで
来ることが出来ず、これといってやることがないので、2人でぶらぶらと歩く。

だが、普段忙しすぎるほど忙しいスケジュールの中、休みが欲しいと
繰り返していながらも、いざ、このように余裕ができるとかえって不安になってくるものだ。
本当にこんなことをしていていいのだろうか? もしかしたら今私は夢を見ていて、
目を覚ませばまた忙しい仕事の日々が待っているのではないか――?

「ええやん、夢でも」

私の言葉にあいぼんがかえす。
「別にもしこれが夢だとしても、それならそれでええやんか。目ぇ覚ましたら
 きっつい仕事の毎日が待ってるんやろ? だったら少しでも長く、楽しい夢見てた方が
 ええんちゃうの?」
「そう…なのかな」

それでいいのかもしれない。
それではいけないのかもしれない。
私にはどちらが正しいのか判断できないけれど―――

けれど、今は、このゆったりとした時の中に身を任せておいてもいいかなって。
そう、思うことにした。

130 :木多娘。 :02/06/17 01:51

所在なく廊下を進むうちに、隣りの彼女を見て、ふと考えた。
そういえば、ここに来てからずっとあいぼんと一緒に行動している。
思えばいつも――仕事のときも、プライベートのときでさえ
2人でいることが多いのだ。常日頃、2人1組でセット扱いされるのも、
このことに起因しているのではないか? そろそろ、1人の娘。メンバーとして
自身のアイデンティティを確立してゆくときではないか?
そう、あの十数年もの長きに渡ってバンド活動を続けた
大槻ケンヂ氏と内田雄一郎氏にさえ、袂を別つ日は訪れたのだ。
私達にその日が来るはずがないと、誰が言いきれるだろう。
そうだ、来るべきその日に備えて、私達は一人立ちするための
訓練をしておくのもいいのかもしれない。

「あ…」
「あ、ウチ、他んとこに用事あるからちょっと行ってくるわ」

私が「あのさ…」の「あ」の字を発した瞬間、あいぼんはそう言うと、
走って行ってしまった。
一人取り残された私は、上げかけた手の持っていき場所に困り、
半ば自分の意思とは無関係に、鼻に指を突っ込んでしまっていた。

なんだろう、この、得も言えぬような敗北感は。

雨の音だけが私に語りかけてくる。

雨。
このいつまでも降り止まない雨のせいで、湿度がどんどん上がって
キノコがどんどん繁殖してきてそして――――

あまねく全ての人がキノコ人間になってしまったら……いいねえ。


何故かそんなフレーズが、私の内をぐるぐると廻り続けていた。

131 :木多娘。 :02/06/17 01:51

…まあよい。
気を取り直し、また歩を進めることにする。
そうだ、この機会に日頃あまり交流の無いメンバーと親睦を深めてみるのも
いいかもしれない。

交流が無いといえば……やはり新垣里沙ちゃんか。
思わずフルネームで呼んでしまうほど、普段全く話すことがない。
ちょうど彼女の部屋も近いことだ。ここは一つ、私の小粋で軽快なトークによって
ヒューマンリューブリケーション(人間関係の潤滑)を図ることにしようか。
それは今後、モーニングがさらなる高みに昇ることへの足がかりになると言っても
過言ではないだろう。


彼女が居るはずの部屋のドアが視界に入る。
遠目にはわからなかったのだが(それに、会話の第一声はどんな風にしようか、ということに
少し考えが向いていたから――ポテトチップスをもっと美味しく食べる100の方法とか、
カレーうどんに入れるルゥ選びの際、初心者が陥りがちなミスとか――まあ、そんなとこ)
だんだんと近づくにつれて、ドアが少しだけ開いているのに気がついた。

その不用心さに少々あきれながらも(と言っても、今、この館に居るのは
私達だけのはず――なのだから、それほど心配することでもないだろうけど?)
ささやかな好奇心は、私の瞳、手、足のつま先の神経を巧妙に誘惑して―――
ま、早い話が。ドアの隙間からこっそりと中を覗いたのだ、私は。

132 :木多娘。 :02/06/17 01:52

……なんだ、これは?

人は予想外の光景を目にしたとき、口をポカンと開けたまま、
その場に立ち尽くしてしまうことがある。今の私がまさにそれであった。
カメラの前でこそ、八重歯の露出角度、滲み出る無邪気さ、という点を
計算し尽くして開いている私の口も、このときはお構いなしに、だらしなく
半開きの状態(ああ、なんてはしたない!)になってしまっていた。

ドアの隙間から漏れ出す光が紡いだ像は。
せわしなく上下する細い腕。
ウサギが跳躍する瞬間を思わせるような膝の伸縮。
ボールこそ手にしていないものの、彼女の所作はまさしく
バスケットボールのそれであった。

一心不乱にドリブルを続け(しつこいようだが、ボールは持っていない)
ある一瞬――そう、まるでその俊敏な動きに周囲の大気が追いつけず
現してしまったわずかな隙を縫うかのごとく、深く沈みこんだ膝から全身へ、
そして華奢な身体を軋ませた後、腕の先から解き放たれるショット。
私の視線は、あたかもゴルゴダの丘におけるイエスのように彼女の身体へと
はりつけられ、苦しさに身悶えながらもその姿を凝視する。

彼女が今戦っている相手チームはどこなのだ?
海南か? それとも北陵? 意表をついて天童寺(DEAR BOYS)?
立ちはだかっている壁は仙道彰? はたまた哀川和彦か? 哀川翔は今いずこ?
一体、彼女の意図は……

そのとき。

私の脳裏に一陣の風が――いや、それはもしかしたら
大気を切り裂く稲妻であったのか――?

133 :木多娘。 :02/06/17 01:52


“先生…バスケがしたいです……”

                                 .

134 :木多娘。 :02/06/17 01:52

「……!」

思わず上げてしまいそうになった悲鳴を、無理矢理喉元へ押しこめる。
行き場を失った振動は出口を捜し求め、喉へと存分な暴力をふるっていたが、
私の受けた衝撃はそんなものを完全に忘れさせてくれるほどのものだった。

―――罠、だ……。

罠。
太古より、人間は業によって他の生物の肉を喰らい――
もっと効率良く食を得るために。
獲物を殺すことへの罪悪感から逃れるために。
狩猟という行為の中から、捕らえるという要素のみを
抽出して作り出された、残酷な、無機物。

彼女のフォームを一目見て、なぜ気がつかなかった?
あれはまさしく、どこからどう見ても正真正銘、みっちーこと三井寿(ミソッ歯)の
ものではないか。もしあの場へ私がのこのこと出て行ったなら
待っているのはただ一つ、安西先生が作中で受け続けたあの屈辱――
顎タップン【ago-tappun】しかない。

背を伝う、ひとすじの冷え切った汗で我に返った。
気を抜けば止まることなく笑い続けそうな膝をどうにか支え、
その場から静かに立ち去る。

一歩足を踏み出すごとに背の彼方へと遠ざかってゆく、シュートが風切る音の錯覚。
それを全身で振り払いながら、思った。
もしかしたら、今日見たあの光景は二度と忘れられないかもしれないな…。
そう…、きっと、青色7の振り付け練習の合間に飯田さんが私だけにこっそり
見せてくれた、はたけさん直伝のギター背中回し(BGM:麦畑)の映像とともに――

ずっと、ずっと、いつまでも。

135 :木多娘。 :02/06/17 01:52

「…あれ?」

一気に襲ってきたような疲れに身体をふらつかせ、足を引きずりつつも
ロビーへと向かっていると、廊下の向こうに特徴的な人影が2つ、見えた。
きっとどれだけ離れていても見間違うことはないだろう2人、飯田さんとあいぼんだ。
先刻の出来事が私の心に影を落としていたのだろうか、2人の姿はどこか
眩しく感じられる。暗い暗い道に、フッ…と現われた一筋の光。
ああ、もしかしたら、今朝の夢の続きは今なのかもしれないな、などということを
考えながら(もっとも、あいぼんは「眩しい」と言われると心なしか機嫌を損ねる
ようなのだけど。けれど、その怒る仕草がまた、妙に可愛く見えたりして、
思わず私はクックッと笑いを漏らしてしまうのだ。あいぼんには悪いけど、ね)
彼女達の元へと歩み寄った。

「あ、辻」
「…どうかしたんですか?」
「ああ、いや、ね。ちょっと紺野見なかったかな〜って。今、加護に聞いてたとこ
 なんだけどさ、辻は見なかった?」
「いーえ、見てませんけど……何か用事とか?」
「あ、ううん、別に大した用事があるわけじゃないんだけどね。ただ…ちょっと
 姿が見えないからさあ。ほら、なんつーの? ここ、いつもの楽屋と違うわけだし…
 なんとなく気になっちゃって」
「飯田さん、意外に心配性やからなぁ」
「…ま、一応はリーダーだからねえ」
そう言うと、ふぅっと息を吐き出して―――ああ。この表情。
こんなときに飯田さんが見せる、眉をハの字にしてフッと笑い、
「なんだか困ったことになっちゃったよ」とでも言ってしまいそうな、この表情。
もちろん私はこの顔も好きなのだけれど…それでも。
もっと…安心したときの、あの笑顔が見れるのなら、私は。
ふぅっ、という笑顔よりもっと、あのニコッと笑った顔が見れるのなら、私は。
飯田さんが私にしてくれたことに比べれば、本当にささやかなものだけど――
それでも、私は。

136 :木多娘。 :02/06/17 01:53

「…私、探してきますっ」
「え? いや…」
「あいぼんも行こっ」
「あ…ああ、どうせ暇やし。ちょっと探してみよっか」
返事が終わらないうちに彼女の手をとって、駆け出し――とまでは
いかないけれど、早足で歩き出す。

「……いや、別にほんと、大した用じゃないんだけど……」

飯田さんの声が遠ざかる。きっと「まったく、あの2人はいつも元気だよねえ」って
肩をすくめているのは振り返らなくてもわかるけど。「違うよ、あのね」って
言葉も、私は返したりはしないのだけど。

137 :木多娘。 :02/06/17 01:53

なんとなく人が集まっていそうな部屋を、一つ一つ見て回る。
大体はロビーに居るか、それぞれの部屋に居るかだと当たりをつけて
捜すことにした。
途中、読書に耽っていた保田さんを仲間に加え、「どうしますか、ボス?」と
言わせたい衝動にも駆られたが(『ポートピア連続殺人事件』は、私の中で
フェイバリット・ゲーム ベスト10に入っている)自分の保身を考えた結果、
ギリギリのところでやめておいた。


「……うーん……」
一通り、館の中を回ってみたのだが……見つからない。
私もあいぼんも、予想外の展開に――どうせすぐ見つかるだろうと思って
いたから――これは困ったと、互いの顔を見合わせる。
気がつけばもう廊下のつきあたり。その先に部屋なんて残ってはいない。

「いないねぇ……」
「ん……。ホンマに…どっこ行ったんやろなあ……」

そして。ふうっと溜息をついてあいぼんが壁に寄りかかったとき。
それほど強くはなかったものの、確かに壁へと与えた振動に呼応するように。
ゴヅッ……って。普段なら聞き逃してしまいそうな――けれども、
今、このときに限って、はっきりと。

「……えっ?」
私達は互いの表情を確認し、また、疑問符付きの声でハーモニーを奏でる。
「今…なんか音、した…よね?」
「……うん」

138 :木多娘。 :02/06/17 01:54

ふと、音の方向を眺めてみれば。
それは廊下のつきあたり、ポツンと寂しげに、しかしずっと
私達が訪れるのを待っていたかのように。

ああ、あれ――掃除用具が入ったロッカーだ。
きっと今、壁に寄りかかった衝撃で、中に立てかけてあったホウキとかが
よろけて――もう、あいぼん、いっつも私に太る太るって、自分だって
人のこと言えないじゃない?現にあいぼんが今、ドンッてしたおかげでさ?
「あ……」
私の頭は意識せずそんなシナリオを描いてて――
――あっわざわざ直しに行くなんて今日のあいぼんちょっと律儀だねいつもだったら
「ま、いっか」って笑って頭をポリポリかいて――――何でそんな、恐る恐る?

わかってた。私の心臓がやけに鼓動を早めているのも、彼女のヒザが
目に見えて震えているのも。その理由、わかってた。
「まさかね?」そんなセリフで今を否定したい私、「でも……」ある可能性を
想像する私、「開けちゃダメ!」あいぼんの手をとってここから逃げ出したい私――。

取っ手に手がかかる。
3人目の「私」は、急激に発言力を強めて――
取っ手が回される。
その「私」は、彼女に制止を呼びかけ――
「だ…」

ロッカーのドアが、開かれた。
                                      .

139 :木多娘。 :02/06/17 01:54

まるでスローモーション・ビデオを見ているように。
真っ赤に染まった「それ」は綺麗に放物線を描いて、ゆっくりと、ゆっくりと。
開いたロッカーに手をかけたままのせいで、やけに無防備になっていた彼女の胸に。
ドサッ…と。

「…ふぎゃあッッ!!!」

――前に、誤ってマロンのしっぽ、踏んじゃったときに…こんな声、出してたな。
そういえば、あいぼんには、しっぽ、あったっけ?

「あ……ああ……こ、こ……」

――もう、そんなに肩、震わせて。怒った? しっぽ、踏んじゃったから…
怒ってる?

「こ、こん……」

――わかったよ、謝ればいいんでしょ? もう…マロンもあいぼんも怒りんぼな
ところは似て……あれ? 足が、動かない。

床に縫い付けられたように、ピクリとも動かない、私の、足。
あいぼんの肩に手をのっけて、ポンッて手をのっけて、ごめんねって謝れば
その震えだってすぐ収まるでしょ?――なのに、動こうとしない、私の、足。

「あ……あ………」

早く行かなきゃ。もう、なんで動かないんだよ、この足は。

「……いっ…いやああああッッッ!!? 動いたああああッッッッ!!!!」

………は? 動いた?

140 :木多娘。 :02/06/17 01:55

彼女を支える手を離してしまい、その場から後ずさるあいぼん。
「うっわ」
って、思わず声を上げてしまうほど、痛そうな音を立てて
床にぶつかる紺野ちゃんのおでこ。ゴッチン!とか聞こえた。
いや、ごっちんならロビーの方に……じゃなくて!

「ちょ、ちょちょ、ちょっと!?」
腰を抜かしているあいぼんの代わりに、彼女の元へ駆け寄り
――今度は足が動いた――その身体を抱き上げる。

「あ……辻、さん……」
「ちょ、大丈夫!? どうしたのこれ! 血が…」
「…近所のスーパーの100円均一で、買いました」
「近……はぁっ?」
「でも、ちゃんと、水ですぐ落ちるから…大丈夫です」
「水でって何………これ、血のり?」
「はぁいぃ」
「いや……、血のり?」
「はぁいぃ」
「……ドッキリ?」
「いいえぇ、違いますう」
「じゃあ……何?」
「フ…フフ……」
「いや、何?」
「ウフフ……辻さん……辻さんが来てくれると思ってました……やっぱり」
「…はぁ?」

…なんなんだろう、このシチュエーションは。
14年間の人生の中に、この場合とるべきリアクションの知識は
見つからなかった。そして困惑する私をよそに、彼女は。

「のの紺、最強……」

何やら、呪文を唱えた。

ののこん? なんでしょう、それは? 糸コンの仲間でしょうか?
それともスパコン? はたまたゼネコン? 「おしょくじけん」って
お食事券のことじゃないの? 違う? あらそう。

真っ赤な血のりがついた顔でうっとりと笑う紺野ちゃん。
あいぼんはといえば、さっきから腰を抜かしたまんま
「妄想やで、妄想やで、妄想やで、妄想やで……」
と、うわ言のように繰り返すばかり。
そんな2人に挟まれ私はもう、どうすればいいのかわからなくなって、
ただ、へらっと笑った。
                                     .

141 :木多娘。 :02/06/17 01:55

――

結局その後。
私達は通りがかった矢口さんに発見され、
「お前ら、何やってんだ?」と声をかけられて、ようやく。
紺野ちゃんはお風呂へ、私達は部屋へ。
帰り際に漏らした「辻加護ならともかく、紺野まで一緒になって…」という
矢口さんの言葉はどこかひっかかったが、まあ忘れることにした。

程無く夕食の時間もやってきて(案外、時間が経つのって早いものだ)
ご飯を食べ終えた後はゆったりと風呂につかった。

まだ濡れている髪をタオルで包み、今日も1日が終わるなあ、と思うと、
なんだか身体から力が抜けたような気がした。ふと向かいを見れば、
あいぼんも頭からホカホカと湯気を上げ、やや惚けた表情で、どこに
向けるともない視線を送っていた。少しのぼせたのかもしれない。

「私、ジュース持ってくるよ。あいぼん、何がいい?」
「え? ああ……じゃ、オレンジ」
「わかったー」

ベッドから立ち上がるのはちょっと面倒だったが、彼女の方が
疲れているだろうと思うと、自然に言葉が出た。
ま、私も何か冷たいものが欲しかったから――ってのもあるのだけれど。

142 :木多娘。 :02/06/17 01:55

もうみんな自分達の部屋に戻っているのか、遠くの部屋から
騒いでる声は聞こえてくるものの、人の姿自体はどこにもない。
薄暗い廊下は少々不気味さを感じさせたが、部屋とは違った
ヒンヤリとした空気が、のぼせ気味の身体に心地良かった。

少しふらつきながらも台所へたどり着き、冷蔵庫の扉を開ける。
あいぼんの分はもう決まってるとして、私は何にしよう、
やはりいちごブリックか?いやいやジョルトコーラも捨てがたい、と、
頭を悩ませていると、

「……辻さん」

後ろから声をかけられた。一瞬、背筋に冷たいものが走ったが、
振り返ってみればそこに居たのは紺野ちゃん。

「な、なんだ……驚かさないでよ……」
「あ、すいません……でも」
「…っていうか…髪の毛、濡れてる? どしたの?」
「ああ……私、今お風呂に入ってきましたから……」
「え? 夕方にも入ったのに?」
「ええ……だって……」
「…あ、まあいいんだけど。それより紺野ちゃんもジュース?」
「いえ、私は……」

「私は…」そこで言葉を切り、一度、大きく息を吸いこむと彼女は――

「辻さんを、待っていたんです」

はっきりと、そう言った。

143 :木多娘。 :02/06/17 01:56

「へっ…? 待ってたって……」
「あ、ここじゃなんですから」

そして彼女は私の手をとり、半ば強引に、台所から連れ出そうとする。
あ、ジュース……と、言う間も無く、グイグイと引っ張られ(彼女、こう見えても
力が強いのだ。私も腕力には少々自信があるものの、このときは湯に当たっていた
せいもあって――)結果、たどり着いた先はロビー。
わずかな明りだけが灯された部屋のソファに2人、腰掛けたはいいものの……
私は急な展開に戸惑ってしまい、何を話していいのかわからなくて
ただ、彼女が口を開くのを待っているばかりだった。

1分ほどして。何やら考え込んでいたような表情をフッと解くと、
「あの…」
彼女の癖なのだろう、聞きなれた単語で言葉を紡ぎ始める。
「あの、私……ここに来てからの私、正直…ちょっとおかしかったでしょう?」
「えっ……いや、そんなことは……」
まあ確かに。普段の彼女から比べれば、やけに行動的だったり、
はたまた突拍子も無いことをしてみたり。
「いいんです、わかってますから……今日だって」
「あ、あぁ……その……まあ」
「でも……私、見てもらいたくって」
「え? 何が?」
「…辻さんに、私のこと、見てもらいたくって」
「へ?」
「それで…自分でも、でしゃばった真似とかしたって気はしてます……けれど」
「いや、あの?」

彼女は何を言っているんだろう?
私に見てもらいたかったって……なんでまた?

144 :木多娘。 :02/06/17 01:56

少しの沈黙が2人の間に流れて、そして。

「私……私、辻さんに会うためにモーニング娘、入ったといっても過言じゃありません」
「え? ……あ…ああ、それはどうも…ありがとうございます?」
「正直、こんな機会が巡ってくるなんて、思いもしなかった…」
「こんな機会って…どんな…」
「私…」
「はい?」
「私、もう我慢できないんです…!」
「え……あっ……!」

あっ。そんな私の声をかき消すかのように。
ガバッと身を乗り出し、彼女は。
少し上気がかった頬で、彼女は。

湯上りの汗で少し身体にはりついたパジャマ、そのボタンがスルスルと外されてゆく。
これ、結構お気に入りなんだ。だから、あまり乱暴に――
何故か抗うことは出来ず、その上冷静にそんなことを考えてる自分が、そこに、居た。
                                        .

145 :木多娘。 :02/06/17 01:57

――私っ……わたしっ……
上ずった声で。
――こんなことして、悪いってこともわかってるんですっ……
けれど、手の動きが止まることは無くて。
――それでも……わたしっ……
心なしか目が充血しているような彼女は。
――けど……けれど………
その動きを一層、激しくしながら。

――…辻さんも、ちょっと好きでしょう?

言った。

「いいんですよ、ほら……」
「…………」
「私ばっかりこんなことしてちゃ悪いですから……ねっ…?」
「…………」

私は。

「いいんですよ……」

ソファにダラリと置かれていた腕を。

「ほら……」

引き止めようとする重力に抗わせて。

「どうぞ……」

彼女へと。
                                     .

146 :木多娘。 :02/06/17 01:58

「っ……!」

一瞬、触れられた彼女がビクッとその身体を震わせたのは
意識しすぎた故に感じた、私の錯覚だろうか?
いや、違う。事実、私に触れる彼女の手が止まったのを
しっかりと認識していた。
けれど。
私はそれを無視して、ゆっくりと、でも確実に。
彼女の瞳が、羞恥の色に歪んだように見えたけれど、それも、無視。
だって、差し出してきたのはあなたでしょう? だったら――

周囲の全てが時を止めてしまったような空気の中、2人だけが。
まるで雨が嬌声のようなBGMを奏でている中、2人だけが。

私は動かすその手を止めることなく。
しかし、思考の片隅で――ほんの、片隅で、思った。

この娘は……紺野あさ美という、この娘は。
私とほとんど歳が変わらないくせに、
私より、ずっと落ちつきがあって。
私より、ずっと背が高くて。
私より、ずっと、大人びた声を持っていて。
けれど、私よりずっと不器用で、そして――――


――――ずっと、狂っている。

                                  .

147 :木多娘。 :02/06/17 01:59

――――

どれだけ時間が経ったのか、もうわからなくなっていた。
ふと、顔を上げた、そのとき。
少しぼやけた視線を、彼女の頭の後ろへ向けた、そのとき。

見慣れた、人影。

ああ、顔ははっきり見えないけれど――でも、すぐにわかる。
だって、今日の昼間だって……
同じように、すぐに、わかったじゃない?

「あ……」

少し、ほんの少し、さっきよりも近づいて、しかしソファとは
確実に距離をとって、人影は―――彼女は。
私は、すでにその姿を認めているはずなのに、手を止めようとしない。
それは目の前の少女だって同じ――いや、こちらはまだ気付いていないから?

「あの……な」
呆然と立ち尽くしながら人影……あいぼんは、静かに。
「なんちゅうか、まあ……」
ばつが悪そうに、けれど少し呆れているような口調で、静かに。
「その……ま、2人が……」
私の手は、それだけが違う生き物になったかのように、動き続けて。
「2人が仲良いってのは、よぉーっく、わかったから。でもな……その……」

そして彼女は、一気に吐き出すように――いや、実際、吐き出した、言葉を。

「…恐いから。2人して仲いいのはわかるけど、こんな夜中に誰も居らん部屋で
 腹とほっぺたの揉みっこしてんの、本気で恐いから。
 ちっちゃい子供が見ようものなら速攻で泣き出してしまいそうな光景やで?
 しっかしまあ、ホンマにいっしょうけんめい……君ら、あれか?
 やわらかいもんフェチってやつか?」


―――夜はまだまだ終わりそうにない。

                                     .

148 :レスれす :02/06/17 02:01

〜♪連れてぇ〜〜逃〜げ〜てぇ〜よぉ〜〜
   ここではないぃ〜〜ど〜こ〜かぁ〜〜へ〜〜♪

はい、今週もお別れの時間が近づいてまいりました不定期更新「放置といっしょ」。
エンディングテーマはグレイさんの「ここではない、どこかへ」ですた。
聞いたことないけどな! 多分こんな感じでしょう、きっと。

>>114
はい、来ました。けれど…実は「ダ」じゃなくて「タ」で……いやいやいや!何でもありません!
>>116
向こうのスレはあまり見てないんです。ごめんなさい。
あと、上の話は確か夏がテーマのときに書いたような……全然夏っぽくないですけどね、内容。
>>117
えがった! けれど更新といっても昔のボツネタなのであまり労力を使っていないという罠。
>>118
いえ、実はスレのタイトルがタイトルなんで、ここは自分専用ボツネタスレみたいな
意味合いもあったり……あれもある意味本編みたいな……と、言い訳前線が
吹き荒れまく…(中略)…シーチキンってちょっと高いですよねえ。
>>119
保全されてみた! サンクス(猪木弁当って何だったんでしょう…)!
>>120
初めて狩に来て読んだスレがここなんて……どうか、狩がこんな
くだらない話ばっかの板だなんて勘違いなさらないことを祈るばかりです…。
でもありがとうございます。
>>121-123
保全ありがとうございます! 僕達は!私達は!今日この記念すべき日に、卒ぎょ……間違えた。

[予告]
「辻、あのね……」
「え…飯田さん…?」
「王手飛車角タンク地雷飛行機桂馬金銀歩取…!」
「…太る太る言うんじゃねーよ!」
「エゴやよ、それは…!」
「福ちゃん……なっちは…なっちは間違っているんだべか…?」

次回、「帰ってきた!逆襲の銀河英雄軍人将棋なんやそれ?
      〜工兵とかスパイとかって飛車と同じ動きでいいんですよね?〜」

で、お会いしましょう。

                       ※予告とは一部異なる場合があります

149 :名無し娘。 :02/06/17 02:04
2ヶ月ぶりの更新を、なんとリアルタイムで見てしまった。

この確率を求めよ

150 :名無し娘。 :02/06/17 09:30
次は軍人将棋っすか…自分、ルールもしらないっす。
とりあえず、更新記念パピコ。

151 :名無し娘。 :02/06/18 00:18
「帰ってきた!軍人将棋なんやそれ?」
そんな名前のゲームソフトありましたね。
スーファミでしたっけ?

152 :150 :02/06/24 23:19
ちくしょう・・・1週間も待ったのに・・・あのレスをつける人がいると思ってたのに・・・
しょうがない、自分でつけるか。

>>150
ネタにマジレス(ry

153 :名無し娘。 :02/07/02 23:04
穂是無

154 :名無し娘。 :02/07/17 01:28
hozen

155 :名無し娘。 :02/07/17 06:08
何回読み返しても声を上げて笑ってしまうな。
さて、もう一回読み返すとしようか。

156 :名無し娘。 :02/08/14 06:37:43
保全

157 :レスれす :02/08/14 20:49:07

…あ、どうも。ダメ人間です。

>>149
えーっと確率といいましても、もう2ヶ月前の……うわ!また2ヶ月空けてる!
時間が経つの速すぎだ……
>>151
大丈夫です。私も買ってきて説明書見て
「うわ!遊ぶのに3人必要なのかよ!めんどくせっ!」
つって諦めた人間ですから…
>>151
ファミコンでもあったんですよねぇ……懐かしい……
>>152
大丈夫です。ネタにマジレスするのは負けませんので。
>>153>>154>>156
保全ありがとうございます。
>155
ありがとうございます。失笑でなければいいのですが…


またしても2ヶ月も空けてしまって、というかこんなスレに
お付き合いくださってる変わりも…ゴホッゴホッ! …今時奇特な方には申し訳無いのですが
まだ更新できないっぽいです…。
代わりといってはなんですが、ボツといっしょのオープニングテーマでもどうぞ…
.

158 :木多娘。 :02/08/14 20:50:35
あ、その前に誤爆してますね…。
5行目、>>151>>150 です。

159 :木多娘。 :02/08/14 20:51:35
.
筋肉少女帯 / ララミー


  ∋oノハヽo∈
   ( ´D`∩      ラァ〜 ラリラリラァ〜〜♪
 (( (⌒) ⊃ノ  ))
     (_)

 ∋oノハヽo∈
   ( ´D`)       リィ〜ラ〜ラァリ〜ラ〜ラ〜ラァ〜〜♪
 ((  ノ ⊃⊃ ))
   (__ノヽ_)

 ∋oノハヽo∈
   ( ´D`)つ      ラァ〜 ラリラリラァ〜〜♪
 (( (⊃  (⌒) ))
    (__ノ

  ∋oノハヽo∈
    (´D` )__      リィ〜ラ〜ラァリ〜ラ〜ラ〜ラァ〜〜♪
 (( ⊂⊂   _)
     (__ノ ̄ 彡


 ∋oノハヽo∈
 ○(´D` )○      ノ〜ノミ〜ッ♪
   \   /
.ピョーン しし))ミ
.

160 :木多娘。 :02/08/14 20:52:15
.
申し訳無い! 君のノノミーはッ!

      ?
∋oノハヽo∈
  ( ´D`)
  (⊃⊂)
  (__Y__)
.

161 :木多娘。 :02/08/14 20:52:40
.
昼夜コンビニエンスストアーでドカ買いするような少女によってっ!



      ∋oノハヽo∈
( ´ Д `)σ)´D`)テヘテヘ
     プニョプニョ


           ∋oノハヽo∈
   ンア〜( ´ Д `)(´D`;) オナカハヤメテクラシャイ…
       (   σ))  ⊂)
       (_)__) .(__(__)
          ムニョムニョ

                  ♪
                   ヽ    ♪
              ∋oノハヽo∈ 〃
   ナンレハラダイコマレ…  ( ;´D`;) ○(´ Д ` ) <ほんと、いい音するね〜
                /   ⌒ヽ  \   )
               (人__つ_つ (_(_,J
                  ポンポコポコリ〜ン


なすがままにされてしまったァッ!

.

162 :木多娘。 :02/08/14 20:53:16
.
あ〜や〜や〜  イ〜ヤ〜や〜  イ〜ヤ〜やや〜♪


         ノノノノノハ)          ≡  ノハヽ  トンナヤッ…!
ア、ヘイケサン… ノソ;‘ 。‘ノ          ≡ 川T◇⊂   ウチノシゴト トンナヤァッ…!!
    チョット… (つ  つ          ≡ (つ )
           | | |            ≡人  Y
          (_)__)           ≡ し (_)
.

163 :木多娘。 :02/08/14 20:53:43
.
 ∋oノハヽo∈
   ( ´D`)      ラァ〜 ラリラリラァ〜〜♪
((  ( つ )つ ))
   (⌒)ゝ__)
    ̄

  ∋oノハヽo∈
   (´D`∩) ))    リィ〜ラ〜ラァリ〜ラ〜ラ〜ラァ〜〜♪
(( ⊂(   )
    (_八__)


  ∋oノハヽo∈
((  ∩( ´D`)     ラァ〜 ラリラリラァ〜〜♪
    Y   )つ ))
   r'__ノヽ,_)


 ∋oノハヽo∈
   (´D` )      リィ〜ラ〜ラァリ〜ラ〜ラ〜ラァ〜〜♪
((  (つ  )つ ))
  (⌒(⌒ノ


 ∋oノハヽo∈
 ○( ´D`)○     ノ〜ノミ〜ッ♪
  \  /
  (__/(__/   .
彡 彡  ピョーン
.

164 :木多娘。 :02/08/14 20:54:05
.
めんぼくない! 君のノノミーはッ!

       ?
∋oノハヽo∈
  ( ´D`)
   (  ∪)
  (__)ヽ__) )))
.

165 :木多娘。 :02/08/14 20:54:28
.
コネなんかをおもちゃにして遊ぶような少女によってっ!


      ∋8ノハ8∈
       (;・e・)  ダカラ コネジャネッツノ!
        (  )つ
        (___)__)




    ションナ!!
       ∋oノハヽo∈    コレデ5カイメ…
       煤i;´D`) ∋8ノハ8∈
         (α  )  (・e・;)<辻さん、また計算間違えてますよ…
      / ̄/三/  ̄  (   )
   /        ../  ヾ_)
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ   /
 /             ヽ /                        ノハヽヽ
 ~""""""""""""""""""~                    アヒャ! (・∀・o川
                                        (    )
                                         | | |
                                        (_(_)

笑い者にされてしまったァッ!
.

166 :木多娘。 :02/08/14 20:54:59
.
あ〜や〜や〜 イ〜ヤ〜や〜 イ〜ヤ〜や〜 イ〜ヤ〜や〜♪



メ〜ッチャ ホ〜リデイ〜
        rー、
    」´ ̄`lー) \
    T¨L |_/⌒/  ← あやや
     `レ ̄`ヽ〈
       |  i__1
     _ゝ_/ ノ
      L__jイ´_ )
        |  イ
         |  ノ--、           r'⌒ヽ_  チクショォ…!
        ゝ、___ノ二7  /´ ̄l、_,/}:\
         |ーi |   l_/ /__ィ::.  ゝ~_ィ´:; ,ゝ
        __〉 {      (T´ |1:::.  \_>、};;_」
       'ー‐┘       ! ` ̄''ァ一 、\ ヽ} ← みっちゃん(いい子)
               〈` ̄ ̄^`¬ノ .::〔 ̄´
                   1  ヽ   .:::レ  ヽ、
                |_イー-、_;;j|_:.   ゝ、
                __,,,... -- |. {―――‐フゝ、   〉 -- ...,,,__
        _,, -‐ ´       ,r|__ト,    1ニノ ー'´       ` ‐- ,,_
    , ‐ ´         └―'´                     ` ‐ 、
.

167 :木多娘。 :02/08/14 20:55:33
.
オ〜 マ〜イ リト〜ル ノノミ〜〜♪


オマエモウ ゼンゼンリトルジャネエダロ……
                / | | | |ヽ
               川 ;‘〜‘)||
               | | _∋oノハヽo∈
               ./ \y (*´D`)テヘテヘ
              /*  |⊃<∪ ∪
              > * / | ゜* /
              l*___/|*゜\_/
                | |   |  ズッシリ
                |__|__|
                ヽtlヽtl


オ〜 オ〜 オ〜〜 オオオ〜〜♪
.

168 :木多娘。 :02/08/14 20:56:29
.
こんな娘は 牧場の恥だよ

  (⌒ヽ、                  (⌒ヽ、         ――――  ○  ―
 (     )         , ⌒ヽ    (    )              // | \
  ゝ     ヽ      (    .'   (       ヽ⌒ヽ 、       / /  |    \
(         )     ゝ    `ヽ(           )           .|
 ゝ           `ヽ,(    (                `ヽ
(              )    )                 )
.
                ∧_         _∧
             / ・,_)        (_` ミ_
    _,,--───'~ ,/             \, ~'───--,,
   λ _ハロモニ in _ )               (_北海道ロケ  λ
   ノ 〉〉 ̄ ̄ ̄  〉〉                | |  ̄ ̄ ̄ | | ノ
    //        //                 | |      | |
从wWW从WW从W从WW从从WW从WwWW从wWW从wWW从W从wWW从W从WW
━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┓从WwWW从W从WwW┏━━━┳━━━
W┃从W  ┃W从W┃WW从┃W从W┃W从WwWW从W从Ww┃W从W┃WW从
W从W  从~\ヽ チョットハマジメニ 从wWW从WW从WW ダルクテ ヤッテランネーノレス W从WW
从Ww 从+~∀~从  ハシランカイ!! wWW从wWW从WW∋oノハヽo∈ WWwWWW从wWw
W从Ww (   ) 从wWW从wWW从wWW从WW从W (´D` )  w WWwWW从w从wWw
从WwW | | |. WW从wWW从wWW从WW从WWWw  (  ∪)   WWwWW从wWw wWw
WW从W (_)__). W从wWW从wWW从wWW从WW从W  (__)ヽ__) )))  w.wWWwW从wW
W从WwWW从wWW从wWW从WW从wWW从WWWWwWW从wWW从wWw wWww
W从WwWW从wWW从wWW从WW从WW从WW从WW从WW从W从WW从WW从w
.

169 :木多娘。 :02/08/14 20:56:53
.
りんねと一緒に 投げまっくちゃえ!!


   ナンデアタシマデー!!ヽ l //          ヽ l // ヒ〜ン!!
         ――― ★ ―――  ――― ★ ―――
            // | \        // | \
           / / |  \     / /  |  \
.            /  .|          /   |

              ↑            ↑
             りんね         ののたん

        -   ̄ ̄ ―
     /
    /                ヽ
         从~\ヽ
   |     从+~∀~从  ̄"⌒ヽ   ムスメヲ ナメンナヤァ――――――ッッ!!!!!
   |i    / ) ヽ' /    、 `、_
      γ  --‐ '    λ. ;  !
      f   、   ヾ    /   )
      !  ノヽ、._, '`"/  _,. ‐'"
      |  j   ヽ 〈_,,,ノ" ヽ
       !  ヽ   冫 y'   .ノ
       `、  \ | /   /
          \、ヾ | |  イ-、__
            l.__|   }_  l
            _.|  .〔 l  l
            〔___! '--'

.

170 :木多娘。 :02/08/14 20:57:31
.
返す言葉もない! かわいい君のノノミーはッ!

       テヘ?
∋oノハヽo∈
  ( *´D`)ヾ
  (∪  Y
  (_)_)
.

171 :木多娘。 :02/08/14 20:58:07
.
毛のない中学生によってぇっ!


               @ノハ@
               煤i;‘д‘) ソンナコトナイ、ウエモシタモ フッサフサヤ…
                  つ⊂)
              (__(__)               …ッテ ナニイワスネン!!
.

172 :木多娘。 :02/08/14 20:58:30
.
         ゴニョゴニョ…

       @ノハ ノ从~\ヽ
ジツハ ノノ… ( ‘д从#~∀~从 ホゥ…
       ( つ  (   )
       (__/(__/  | | |.
             (_)__).





辻ちゃんはねぇ〜、
    まだ子供パンツなんですよ〜
     ∨                 ションナ!!         .|ハ@ ニヤリ
..\              ∋oノハヽo∈             |д‘)
  \________         煤i;´D`; )              ⊂)
   .|○::_:゚|           (∩∩)              |ノ
     ̄ ̄                              .|
     ↑
   ANN-SS




恥をかかされてしまったァッ!!
.

173 :木多娘。 :02/08/14 20:58:57
.
あ〜や〜や〜 イ〜ヤ〜や〜 イ〜ヤ〜や〜 イ〜ヤ〜や〜♪



  |        /\ |  /|/|/|     ドドドドドド!!
  |      /  / |// / /|
  |   /  / |_|/|/|/|/|     (´⌒(´⌒`)⌒`)
  |  /  /  |文|/ // /  (´⌒`)⌒`)  /| 全部お前らのせいじゃァッ!!
  |/  /.  _.| ̄|/|/|/    (´⌒(´  ⌒ | | `)`)`)⌒`)
/|\/  / /  |/ /     (´⌒(´(`◇´ )つ `)`)
/|    / /  /ヽ  (´⌒(´⌒  (´⌒( つ |〕 /⌒`)⌒`)
  |   | ̄|  | 落ちついて! 平家さん落ちついて!( (⌒)`)⌒`)
  |   |  |/| |__|/. (ノノノハ `).ド し'⌒^ミ `)⌒`)
  |   |/|  |/  (´⌒(从’。’;从つ  ド⌒`) (´⌒`)`)
  |   |  |/    (´⌒(´( つ /] /   ォと(0―0ヽ;) なんでオレまでッ…!
  |   |/        ( |  (⌒)`)  ォ ヽ| ⊂ `) (´⌒`)`)
  |  /         (´ ´し'⌒^ミ `)`)ォ (⌒)  | (´⌒`)`)
  |/                     .   ̄ (_)`)`)

.

174 :木多娘。 :02/08/14 20:59:25
.
オ〜 マ〜イ リト〜ル ノノミ〜〜♪


イイラサーン テヘテヘ
    ∋oノハヽo∈
      ( ´D` )っ
    /づ| | |ヽ
    (__);‘〜‘)| <重いから!本当に重いからッ!
ズッシリ (   )
      | | |
      | | |
      (___)__)

オ〜 オ〜 オ〜〜 オオオ〜〜♪
.

175 :木多娘。 :02/08/14 20:59:50
.
可哀相だが牧場の掟だ


ウンメェェェ                 ノノノハ
 @''゛"''@  __        煤i・д・o川
 ,(( ´D`)) |ひ辻|         (    )
  ( つひ,づ  |__|          | | |
ノ(,,,,,,),,,,,)     |           (_(_)
.

176 :木多娘。 :02/08/14 21:00:13
.
りんねと一緒に 投げまくっちゃえ!!


ダカラナンデアタシモナノヨォー!! ヽ l //         ヽ l // ヒ〜ン!!
           ――― ★ ―――  ――― ★ ―――
              // | \        // | \
             / / |  \     / /  |  \
.              ./   |          /   |

                ↑            ↑
               りんね         ののたん

        -   ̄ ̄ ―
     /
    /                ヽ
         ノノノハヽ
   |      川o`д´)  ̄"⌒ヽ   ホッカイドウ ナメトンノカァ――――――ッッ!!!!!
   |i    / ) ヽ' /    、 `、_
      γ  --‐ '    λ. ;  !
      f   、   ヾ    /   )
      !  ノヽ、._, '`"/  _,. ‐'"
      |  j   ヽ 〈_,,,ノ" ヽ
       !  ヽ   冫 y'   .ノ
       `、  \ | /   /
          \、ヾ | |  イ-、__
            l.__|   }_  l
            _.|  .〔 l  l
            〔___! '--'

.

177 :木多娘。 :02/08/14 21:00:39
.
オ〜 ノノミーは〜 哀しい子だねぇ〜♪


      
    ラッテ ジマンスンラモン!!             アトレ タベレルンレスヨネ?
      ∋oノ=ヽヽ.               ∋o/ハヽo∈
        ( ;´D`;)                 ( ;´D`;)
.     (( ⊂   つ ))               (つ   つ
        (___)__)      __ノ           ̄ ̄ ̄ ̄\    __ノ
        ヤキソバ…  __ ノ             □▲◆△_\_ ノ
       _______________ ノ                ケーキ…   ノ
          O                 O  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
              o          o
               ∋oノノハヽヽo∈
                (;´D`;≡;´D`;)  ホロニガイ オモイデレス…
                  (⊃ ⊂)
                  (_)_)

.

178 :木多娘。 :02/08/14 21:01:00
.
オ〜 ノノミーは〜 可愛いのにねぇ〜♪




      テヘテヘ〜  / | | | |ヽ
        ∋o((⊂(‘〜‘* 川 ノンチャン カワイ〜ン
       ∩ (´D`*とノ )
       ⊂'⌒'つ(⌒X⌒),,,,,,,,,,,,,,,,,,

.

179 :木多娘。 :02/08/14 21:01:23
.
              ラァ〜 ラリラリラァ〜〜♪


 ノハヽヽ  ノハヽヽ ∩∩       ∩∩         ノハヽヽ
 (∩´D`) ( ´D`) ( ノハヽヽ  ノハヽヽ )  ノハヽヽ  (´D`") テヘテヘ
  (  _)U (つ つ  ヽ( ´D`) (´D` )ノ ⊂(´D`⊂) ⊂(_  )つ
  (__)__)  (_ノ(_ノ    U U   U U     (∩∩)  (__ノヽ__)


           リィ〜ラ〜ラァリ〜ラ〜ラ〜ラァ〜〜♪



              ラァ〜 ラリラリラァ〜〜♪


        ∋oノハヽo∈               @ノハ@
______ ( ´D`) __________ (‘д‘ )  __________
          (  つ(\               (  つ(\
       (\_ノ(___)⌒ ⌒ヽ_          (\_ノ(___)⌒ ⌒ヽ_
       ) ____  ・_つ        ) ____  ・_つ
      (/      (/          (/      (/
    。 ゚                  。 ゚
   。 ゚                  。 ゚
 〜〜〜〜              〜〜〜〜
〜〜  〜〜  〜〜  〜〜  〜〜  〜〜  〜〜  〜〜  〜 〜〜 〜
   〜〜  〜〜  〜   〜〜  〜〜  〜  〜〜  〜〜  〜 〜〜

           リィ〜ラ〜ラァリ〜ラ〜ラ〜ラァ〜〜♪

.

180 :木多娘。 :02/08/14 21:02:09
.
……


ペコペコ
 ∋oノハヽo∈ <更新できなくてごめんなしゃい
  (( (;´D`; )     芸風パクッっちゃってごめんなしゃい
   ノ ノノ ノ ヽ__      ダメ人間な作者でごめんなしゃい……ろうかゆるしてくらさ〜い
 ⊂.⊂(__(__ )

.

181 :名無し娘。 :02/08/15 00:09:56
(・∀・)イイ!!  萌えたしワロタ!!

182 :名無し募集中。。。 :02/08/15 02:13:53
俺はね、この更新間隔が好きなんだよ
各四半期毎ってかんじが区切りがあっていいよね!

183 :名無し娘。 :02/08/15 20:49:59
>>167>>174>>178
(・∀・)イイ!!(極個人的に)

>>175
ひ辻はカワ(・∀・)イイ!!かった。
ハロモニその辺だけ見れた、よかった。

184 :名無し娘。 :2002/09/12 23:46:43
ホ  ゼ  ン

185 :名無し娘。 :2002/10/03 06:32:44

186 :名無し娘。 :2002/10/14 20:00:39

187 :名無し娘。 :2002/11/04 17:15:46
ho

188 :名無し娘。 :2002/11/26 10:56:17
zen

189 :名無し娘。 :2002/12/06 12:57:29
誕生日おめでとう

190 :名無し娘。 :2002/12/22 03:24:12
全開
保田

191 :名無し娘。 :2003/01/19 18:03:43
保全

192 :名無し娘。 :2003/02/11 22:28:37
ほぜん

193 :名無し娘。 :2003/03/10 08:24:42
( `.∀´)

194 :名無し娘。 :2003/04/07 07:38:41
クイーン戴冠記念保全

195 :名無し娘。 :2003/05/01 09:23:33

196 :名無し娘。 :2003/05/08 23:31:10
えーと、保全うざかったら言ってください

197 :木多娘。 :2003/05/18 20:32:16
 
ホゼンシテモラテルノデ コソーリコウシン。。。
                    

198 :木多娘。 :2003/05/18 20:35:09


―――突然に意識が現実へと引き戻された。

朝だ。心なしか胸のあたりが重苦しい。
部屋は暗く空気は幾分淀んでいたが、2、3日過ごしたこの部屋で
朝が訪れたという感覚はすでに自身の中に馴染みのものとなっており、
光量の有る無しを問わずそれを私へ知覚させていた。

閉じられるのを忘れたカーテンが、自分の役目を忘れられたことを恨んでいるかのように
佇むその合間から覗けた景色は相変わらず暗く、ガラスには空白を埋めることだけを
命じられたかのような雨が激しく叩き続けられていた。
わずかの隙から届く暗雲はまるでそれ自体が有機物――生き物のように体をうねらせ
私を、私を含めたこの館を包んでいるように思われた。

ふと、片腕を伸ばし、空間をまさぐってみる。
もちろんそれは私の、数十センチ上の空気を掻き回すだけであり
手ごたえはまるで無かった。
黒雲を退けようとしたのだろうか。
そして、その彼方に存在するはずの太陽を掴み取ろうと思ったのだろうか。

何も無い空間を必死に掻いている自分の左手を見て、何かに似ている思った。
これはいつかの――ああ、そうだ。昔、まだ私が本当に幼い頃。
母からもらった百円玉が戸棚の奥に転がって。それを私は手の感覚だけを
頼りに、必死に捜し求めようとしている。たかが百円――、だが確かに、
あの頃の百円玉は私にとって今の太陽と同じだけの価値があり、
それを掴み取ることは太陽を掴みとることにも等しくて―――

199 :木多娘。 :2003/05/18 20:35:51

「……ばかみたい」

自嘲めいた言葉が吐き出される。

全く。こんなことしたって何も――。
やや痺れの広がり始めた左腕が解放を求めて、自然、胸の上に降ろされる。
この胸の重苦しさぐらいなら取り除けるかもね。
重力に従う腕の軌跡を眺めながらそんなことを考えた。
やがてそれはたどり着くべき地へと、地へと――

…ええっと。

なんだろうこれ?
私の体を枕にボウリングのボール大の物体が二つ?
よくよく見ればその先には体と2本の腕と足がくっついていて
もしやこれはヒト科ヒト族モーニング娘。種の加護亜依と
紺野あさ美とかいうものですか? 一体なぜ? Why?

曖昧な記憶を、巻き戻すビデオテープのようにノイズ混じりで反芻する。
…昨夜は確か、私とあさ美ちゃんがロビーへ居るところにあいぼんがやってきて…
彼女がひとしきり娘。のあり方などについて説いた後(詳しい内容は覚えていない)、
「…というわけで」という繋ぎとともにふところから花札を取り出し、私の部屋へ
移動することになったのだった。
何故花札なのか。そのような疑問はすでに彼女にとって何も意味をなしておらず、
ただ一つ私が覚えていることといえば、そのときのあいぼんは一人称が「ワシ」に
なっていたし、耳の上に赤鉛筆を挟んでいてもまったく違和感が無いくらいの
オッサン口調だったということだけだ。

200 :木多娘。 :2003/05/18 20:36:13

ベッドの下に目を落としてみれば、そこには昨夜の記憶の最後に残っている
赤タンがほとんどそのままになって佇んでいる。心なしか桜の花が妙に
恨めしそうな顔でこちらを見ているような気がした。

寝起きからドッと疲れを感じ、まず、幸せそうに私のパジャマへとよだれをたらしている
あさ美ちゃんを少し乱暴に揺り起こした(だってそれが作っているシミは、以前あいぼんが
悪ふざけで描いた、私が「おもらし」している絵を思い出させたから。まったく…)。

「…ふも?」

なぁーにが「ふも?」であるか。人を枕代わりにしといていい気なものだ。
今朝何度目かの「まったく…」を声に出さずつぶやくと、続けてあいぼんも
起こすため腕を伸ばす。ドアのノブがガチャリと音をあげたのはそれと
ほぼ同時であった。

「あぁーったくもー! お前等いつまで寝てんだよ! 早く来ねーと朝ご飯先に…
 ……先に……あの、食っちまいます…よ?」

入り口に立っていた矢口さんの表情が物凄い勢いで変化した。

201 :木多娘。 :2003/05/18 20:36:29

メンバー同士で部屋に集まっていることなど別段珍しくもないではないか。
不思議に思った私が矢口さんの視線を追ってみると、そこには何をどう間違えたのか
あいぼんの胸を鷲掴みにしている自分の手があった。

「あっ、これはその…!」
慌てて弁解をしようとするが、焦りのために硬直した私の腕は
胸に固定されたままであり、説得力など皆無であること火を見るより明らかだった。
その上、いまだ目覚めぬあいぼんはどんな夢を見ているのやら、
わずかに頬を赤らめている。
これは非常にマズイ。どうにかして誤解を解かねば。

だが時すでに遅く、数秒間金魚のように口をパクパク開閉させた矢口さんは
何故か親指を突き出したコブシで『グッ!』とこちらにウインクをすると
フッ…と笑い(それはいつかの彼女の表情にも見られた疲れた笑顔、
通称:ワーカホリック・スマイルにも似ていた)小さな背中を背負って
廊下へと消えていった。その姿はデューク・エイセスの唄う『女ひとり』が
ぴったりで、まるで「〜♪京都 大原 三千院…」というメロディーが聴こえて
くるようであり、私はどこか妙な感動をも覚えたのだった。

だが無論、自身の脳裏に響くBGMはベートーベンの『運命』であり(グラディウスの
ボス直前のBGMもでも可)とめどもなく溢れてくる焦りは腕という媒介を得て
凶暴性を増すと、必要以上に強い力でいまだ夢うつつの娘、あいぼんを
起こしにかかった。デコをピシャリとはたかれた彼女は寝ぼけまなこに
「ののさまごめんなさい」と呟くと、またしても夢の世界へ舞い戻って行く。
はて、彼女は禅宗か何かの信徒であっただろうか、という疑問をよそに
すやすやという寝息は部屋に響く風雨の中へと溶けていった。

202 :木多娘。 :2003/05/18 20:36:49

やっとのことであいぼんの目を覚まさせると、軽く寝癖を直し、
食堂へと向かった。3人分の体重を支える古びた館の廊下が
歩を進める度にギシリギシリと音をたてる。
それはどこか寝坊した私達を非難しているようにも
最近気になってきている体型を皮肉っているようにも聴こえたが、
少々気がたっているだけなのだろうと無視することにした。

開けたドアの向こうから電灯の明りが皆の視線と綯い交ぜになって
私達へと注がれる。もし私が梨華ちゃんなどであればそれをステージの
スポットライトのようにも感じて身をくねらせてしまうところであるかもしれないが
生憎私はそのような感覚は持ちあわせていないので(それに、その中には
非難の視線が含まれていたことにも当然気づいてたから)やや上目遣いで
申し訳なさそうに「ごめんなさあい」と頭を掻いた。
フッと音を立てて食堂の空気が緩んでいく。

このような仕草が先輩達の母性本能をくすぐり、少々の罪なら許されて
しまうことを――特に、飯田さんや安倍さんには――私は知っており、
意識的に実行したのだが、そんな子狡い振る舞いをした自分を責める
もう一人の私も内面には存在し、それは皆の視線と入れ替わりに
後悔という名の棘を胸を内側からチクリと突き刺した。

この妙な居心地の悪さを忘れるため(もしくは、ごまかすため)に
早いとこ食卓について食事を始めてしまおうと後ろの二人を促そうとすると、
そこには、いまだ夢の中にいそうな娘といつも夢の中にいそうな娘が
私の努力など意に介せずといった様子でボサーッと突っ立っており
思わず鉄拳制裁の2、3発もお見舞いしてやりたい気分になったが、
なんとか自分を抑え、下くちびるを噛み締めつつ席につくことにした。

203 :木多娘。 :2003/05/18 20:37:00

朝食の内容はといえば昨日とそれほど差は無く、
まあごく普通の朝ご飯といったものであった。
寝坊して遅れた分、味噌汁などはやや冷めているのではないかと思ったが、
それほどでもなく、少し安心する。
隣を見るとあさ美ちゃんとあいぼんが何やら楽しげに会話をしながら
食事をしていたが、その会話の端々からは「四暗」だの「国士」だのという
単語が聴こえてとれ、ロクな話題でないことは明らかだったので無視することにした。

そういえば。昨夜私の部屋で過ごしたということは、
あさ美ちゃんと同室であるもう一人はどうしたのだろう。
他の5期メンバーが座っている方に目をむける。
彼女達は彼女達なりに楽しげに食事をとっており、
きっと昨夜は向こうも3人で過ごしたのかもしれない(そしてその推測は、
おそらく当たっているだろう)。

もしかして、あさ美ちゃんは同期の中で浮いてしまっているのでは。
そんな思いが私の中に浮かび上がった。
現に、ここへ来てから彼女が他の同期メンバーと一緒に過ごしている姿は
ほとんど見ていないような気がする。
実際、今現在の彼女のように、花札や麻雀の話で盛り上がってたり、
また、楽屋でいきなり逆シャアについて小一時間語り始める女子中学生というのは
少なくとも私の人生の中ではまだ、お目にかかったことがない。

204 :木多娘。 :2003/05/18 20:37:18

このままではマズイのではないか。
いくら同じグループに存在しているといっても、
心が許せるというのは同期の人間が一番だろう(体育会系の法則。
一部メンバー――仮に安倍さんと飯田さんとしておく――は例外)。
ここは一つ、先輩である私がなんとか仲を……。

そこで、はたと気が付いた。
私が先輩?
この私が。
モーニング娘に加入してからずっと、姉妹の末っ子のような
立場で甘えていた自分がこんなことを考えるなんて。
梨華ちゃんあたりにでも影響されたのだろうか?
思わず苦笑が漏れた。

「ん?なになに?のんちゃん何か楽しいことでもあったの〜?」
先ほど私の放ったロックブーケ(ロマサガ2)ばりのテンプテーションが
まだ持続しているらしい飯田さんが、ニコニコと語りかけてくる。

「あ……えーと……」
楽しい夢でも見た、なんて言い訳でもしてこの場を切り抜けようか。
そんな風に思案していると、
「ははっ……アレだよ圭織、辻はさ、ほら、もう…なっ、百合の花が咲きまくりって
 やつだからさ……、そうだよなっ、なっ。ゆうべはおたのしみでしたね」
右斜め前方から人生に疲れたような笑いを含む声の贈り物が私の元へとデリバリー。
もはや全てが心底どうでもいいような気分に襲われ、
アンタはドラクエTの宿屋の親父かというツッコミすらする気になれなかった私は
訝しげな飯田さんをよそに飯へと集中することにした。
視界の隅には、顔を真っ赤にしてこちらを凝視するまこっちゃんの姿が映っていた。

205 :木多娘。 :2003/05/18 20:37:43

ただひたすらに目の前の飯を片付けることだけ考える。
いまだ周囲を他のメンバーの談笑が飛び交っているが
それはもはや私の次元とは違う所の現象であり、
どこまで進んでも交わることない平行線。そんな流れ。
そしてそのまま、何事も無くこの時間を通り過ぎる。
そう思っていた。
つい今の今まで。
そうなるはずだった。
けれど。

「あのぅ〜、あたし、ちょっとトイレ行ってきま〜す」

後頭部を鈍器で殴られたような衝撃。
もしくは、巨大な槍で胸を貫かれたような―――

しばし私は茫然とする。
私の耳へと突き刺さった言葉の主は、
もはや他の誰とも間違うこと無きアニメ声。
「ご飯中だっつーのにきったねぇなー石川はぁ〜」
ショックで立ち止まった私の耳に、ようやく周囲の、他のメンバーの声も
届きはじめる。
「もーぅ、空気読めってほんと〜」

206 :木多娘。 :2003/05/18 20:37:56

この人達は何を言っているのだ?
行儀が悪い? 空気読め?
それどころの話ではないだろう。
石川梨華の口からトイレという単語が発せられたのだ。
通常、婦女子がトイレに立とうというときは
「お花摘みに行ってくる」などのセリフが聞かれ(多少、古臭い言い方ではあるが)
そしてそれは「トイレに行く」という行為をカモフラージュするためのものである。
だがしかし、彼女――石川梨華にとっては「トイレに行く」という言葉自体が
「お花摘みに行く」に相当し、その先にはさらに計り知れない行為が存在するのだ。
真実については私も――いや、他の何人たりとも知る者は居ないだろう。
例え知る者がいたとしても、その人間はすでにこの世に存在することを
許されていないのかもしれない。

小走りで遠ざかって行く彼女。
まるでそれを中心に、真っ暗な闇が広がってゆくかのような感覚。
背筋が凍り、五感が麻痺し始める。
もはや私は、ただ、そこに震えるだけの存在。
太古の記憶。
原初の恐怖。

207 :木多娘。 :2003/05/18 20:38:09

「――あれ? 辻、どしたの? どっか具合でも悪い?」
安倍さんの声だろうか。
私の口は開かない。私の身体も動かない。
「あんまり急いで飯かっこむもんやからノドでも詰まらせたんちゃう〜?」
あいぼんの声が聞こえる。
私の口は開かない。私の身体も動かない。
「やっだぁ〜、石川がメシ中にトイレなんて言うもんだから
 気分悪くなっちゃったの〜?」
ノドの奥に微かな悲鳴が漏れる。身体がビクリと震えた。
「しょーがねーなーアイツはー。後でとっちめてやんなきゃねー」
飯田さんの声が届く。
ゆっくりと、ゆっくりと、身体が自由を取り戻していった。

――ああ、そうなんだ。
私の周りにはたくさんの仲間が居る。
大丈夫。
今はただ、その暖かさに身を委ねればよい。
張り詰めていた心が溶け始めていった。

「ゲッフン! ゲフッゲホゲホフッ!!」

――油断した。
安心して気を緩めたところに―――

行き場を迷い彷徨っていた口内のご飯が
喉の奥の、あまり行って欲しくない方向へと進んだらしい。
全くもう!
そんな言葉さえ出すことが叶わず、私はただひたすらに咽せ続けた。

208 :木多娘。 :2003/05/18 20:38:23

「つっ、辻さんっ! だいじょぶですか辻さんっ! お茶! お茶飲んで!」
まこっちゃんが私の元へお茶を差し出してくれる。
その眼差しは、いまだ昨夜のことを誤解したままの
憧憬やら恥らいやらを含んだものであったが、
現時点ではその誤解を解くことより喉の詰まりを解決することの方が先決であり、
コクコクと頷くと私は彼女からお茶を受け取って一気に飲み干した。

「ぅあっっちィぃィゥゥIぇEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!」

何たる熱さ。煮え湯かよ?
脊髄が脳を無視して声帯に叫びを命令する。
私がのび太で彼女がドラえもんならその液体はコエカタマリンであり、
物質化した音は類稀れなるエネルギーをもって遥か彼方に―――
私達を閉じ込めているこの屋敷の窓を、冷たい雨を、黒い雲を、全てを突き破り
空の高みへと連れて行ってくれたのだろうが、生憎どの条件も満たしていないがために
ただただ食堂内に寒々しい叫びが響き渡っただけであった。

「ああっごめんなさいごめんなさいっ! これ水これ! みみみ水ッ!」
次に差し出されたコップも一気に飲み干した。
灼けた口内に素早く広がる冷涼感がようやく気持ちを落ちつけてくれ、
私はフゥッと息をつくと、その場にガックリとうなだれた。

209 :木多娘。 :2003/05/18 20:38:41

「ぁうっ、辻さんっ、ごめんなさいごめんなさいっ」
まこっちゃんがしきりに謝っている。
私は「いいよいいよ」という風に手をふり、
その謝罪を止めさせようとする。
「でもっ、その、あのっ…」
まだ止まらない彼女を安心させるため、せいいっぱいの笑顔を作った。
「…………」
ようやく収まったものの、それでも彼女がしょぼーんとしている姿を見ていると、
なんだかこっちが悪いような、申し訳無いような気分になってくる。
見かねた保田さんが、
「よくあるパターンよ、よくあるパターン!」
そう言ってまこっちゃんの肩をバンバンとたたいた。
こんなことが何度もあってはたまらないのだが
ここは反論する場面ではないと思い、私はそれに同調して
「そうそう」と笑う。
後で布団の中で一寸呻くことになるかもしれないが、それはまあよい。
ふと、彼女は普段から声がうわずってるから慌てたときもあまり変わらないな、
そんなことだけ思った。

210 :木多娘。 :2003/05/18 20:38:56

そんなやりとりが終わった頃、梨華ちゃんが出て行ったときと同じような小走りで
戻ってきた。先程感じられた禍々しさはすでに無く、私はなんとなく
「もしかしたら彼女は自らの闇を払いに行ったかもしれない」と、思った。
根拠は無かったが、ただ、そういう気がしたのだ。
それがトイレという場所であることの是非は考えないようにした。

「石川ぁ〜、ちょっとやめてよねホント〜。トイレなんて後でも行けるじゃんさー」
「あ、すいませ〜ん」
飯田さんと梨華ちゃんの会話を、私はぼーっと眺めていた。何も考えずに。

食事はやがて終わり、皆が片付けへと取り掛かり始める。
カチャカチャという食器の音に混じって、再び窓を叩く音に意識が向けられた。
まるで私達のやり取りを嘲笑っているようだ。
けれど、きっと気のせいだろう。そう思うことにした。

「…ふん」
降り止まぬ雨に対してそれだけ吐くと、目の前にある茶碗たちを重ね、
他の者達と同じように流し場へと足を向ける。

私の声など無視するかのように、雨は変わらぬ諧調でその調べを奏で続けていた。

                                      .

211 :木多娘。 :2003/05/18 20:40:33

あー……もう前回の更新から一年近く経ってますね……何やってんだ自分は……

なんか気がついたらこんなに間があいてたというか、前回の更新がまるで
昨日のことみたいに感じられるというか……
本気で休みが無いという状態が続いてまして……ええ、言い訳なんですけど。
もはや誰も見てないかもしれませんが、一応レスを。

>>181
ありがとうございます。萌えたのは結構意外でビックリ。
>>182
いやー…四半期どころか年刊みたくなっちゃいましたねぇ……
タイトル「放棄といっしょ」の方が合ってるとか言われそうです。
>>183
ひ辻ももうすぐ16歳ですなあ……
最近はハワイャ〜ン娘の三人がいいですね。
最高だ。あれだけは絶対見てるよ。むしろアレのためにハロモニを見ますよ。
>>184-195
保全ありがとうございます。
>>196
ぜんぜんうざくないッスよ。むしろ嬉しいです。
ただ、更新もしないのにこんなスレ残っちゃってて怒られないかな〜…なんて
少し心配だったり。

今現在、全く休日が無い状態が続いてるんで次はいつ更新できるかわかりませんが、
一応書く気はあるということで……。ではまた次回ー

212 :木多娘。 :2003/05/18 20:41:41

あ、ついでに。
以前作ったFlashとかは
http://kitamusu.s28.xrea.com/
ここに置いてますのでお暇な方はどうぞ。
まだ覚えたてなもんでヘタクソっぷりがアレですが。

Flash置き場だけにしてると何故か垢を消されるため
過去の駄文の一部も置いたりしてますけど、
まあその辺はあまりお気になさらずに……

213 :名無し募集中。。。 :2003/05/18 21:22:33
更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!娘。

ハワイアンいいよね〜辻がマヨネーズで里芋にダイブはおとめ組みだお〜
次回更新まで保田するお〜

214 :名無し娘。 :2003/05/18 21:56:54
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッ!!
フ     /ヽ ヽ_//

215 :名無し募集中。。。 :2003/05/18 23:46:44
>>213
もちつけ

更新オツカレデス
木多娘。ってほんといいモンですね
ダヨナラサヨナラサヨナラ

216 :名無し募集中。。。 :2003/05/20 13:02:41
お気に入りから削除しなくてヨカター!

217 :名無し娘。 :2003/05/20 21:39:00
>>198からしか読んでないけどワラタ

218 :名無し娘。 :2003/05/21 00:16:27
>>217
全部読むべき。保全され続ける意味がわかるから。

219 :名無し娘。 :2003/05/22 07:07:41
>>218
以前に読んでます。
もう前の部分を覚えてないかもと思ったもので。
それでも面白かったわけで。。。

220 :名無し募集中。。。 :2003/05/23 20:52:44
待っててよかった
ありがとう

221 :名無し募集中。。。 :2003/05/26 23:26:41
ららら〜♪ほぜ〜ん

222 :名無し募集中。。。 :2003/06/02 02:22:30
( `D´) ・・・・

223 :名無し募集中。。。 :2003/06/02 20:09:30
>>222
どうしたの222ゲッツ

224 :名無し娘。 :2003/07/05 03:05:11
それでは来年までゆっくり待ちますか。
ほぜ








                                    ハヤクカイテクレテモイイノヨ

225 :木多娘。 :2003/07/07 01:27:21

>>213
な、何を言ってるのかわからないけど語尾がしあわせのかたちに出てくる人っぽい!
ハワイアンはいいですね。でも最近はHPWもいいなあ。
>>214
 グッ
.   _n             
  ( l      _、_      
.   \ \ ( <_,`  )     
.    ヽ___ ̄ ̄ ノ      
.       /    /      
                
>>215
淀川さんが!眉毛が三角とかそんな感じ!まことちゃんでもお馴染み!
>>216
お気に入りに入ってるなんて心外だ!
うそですごめんなさい。とっても嬉しいです。
>>217
むしろ>>353あたりから読むと吉です。
>>218
前に自分が書いたものって後で読み返すとなんでこんなに恥ずかしいんだろう…
全部読まなくても大丈夫です。むしろ全部読まれるとリンダが困っちゃうよ。
>>219
Σ(´Д`l|ll)ヨンデルノカヨ!!
>>220
いえ、こちらこそありがとうございます。また来年まで(略
>>221
保全ありがとうございます。
>>222
の、ののたん!どうしたのののたん!
>>223
ねぇ……ののたん……
>>224
いや、どうぞ遠慮せずに来年まで……ゴメンナサイ

226 :木多娘。 :2003/07/07 01:29:18

ええと……まあ書く気はちゃんとあるのですがいかんせん時間が無くて……
とりあえずあまり放置しておくのはどうかと思うので、お暇な方は
ヘボイ私のショボイFLASHでもどうぞ。
と言っても、まだ全然未完成で全体の1/3くらいしかできてませんが。
次に休めるのがいつになるかちょっとわからないので、この際ってことで……

http://kitamusu.s28.xrea.com/swf/Now_toromoning_short.html

マシンパワーが足りないととってもとっても絵がガクガクする予感(作りがヘボイ)

空き時間見つけて早めに完成させようと思います。
それではまた次回の更新で。

227 :名無し娘。 :2003/07/07 01:58:35
>>226
キャワ(・∀・)イイ!!  完成版楽しみにしてまつ

228 :名無し娘。 :2003/07/07 02:08:20
>>226
素敵だ・・・私も次の目標はフラッシュだな

229 :名無し募集中。。。 :2003/07/07 20:42:26
俺は盆と正月だけでもいいと思う

いや、それはウソ

今日は七夕だね

230 :名無し募集中。。。 :2003/07/07 20:44:54
>>353に激しく期待

231 :名無し娘。 :2003/07/21 15:22:32
はははは

232 :名無し娘。 :2003/07/26 12:40:55
もうすぐ盆だな

233 :木多娘。 :2003/08/16 11:47:25

いやー今年は水11がいいですねー(挨拶)

しかし時間経つの速すぎ……いつの間に夏が来てたんだろう……

>>227
ありがとうございます。とりあえず完成版できたといいますか
2ヶ月前には完成するはずだったのになあ……おかしい……
>>228
ありがとうございます。
じゃあ私の次の目標はレピッシュということで……
>>229
失礼な!むしろ正月だけ(略
…とか言ってるうちにスレ立ってからどれだけ
時間が経ってしまったことでしょうか……
七夕の短冊を見ると絶対花札を思い出してしまいますね。
つか思い出すはずだ。きっと日本人の8割くらいは。
>>230
いや、>>353が来ることは多分無……ゲフン!!
そんなことより353はよく見ると人の顔っぽいですね。
>>231
   〃ノハヾヽ
  川:´ v ´从 <は、母の母ははははは…?
>>232
…と思ったらもう盆も終わりですねえ……ハァ……

234 :木多娘。 :2003/08/16 11:48:07

…で、とりあえず完成したので出してみます。
相変わらず下手なうえにサイズが異様にでかくてアレですけど
それでもいいという方はどうぞ。

一応うちの環境では音がズレないようにしてみたんですが
もしかしたら激しくズレるかもしれません。

http://kitamusu.s28.xrea.com/swf/Now_toromoning.html


それではまた次回ー(いつになるやら……)

235 :名無し娘。 :2003/08/16 12:07:54
今みました。
すげぇ…あんた凄すぎる!GOOD JOB!!!!
(個人的には飯田と矢口のトコで腹抱えて笑いますた。)

236 :名無し募集中。。。 :2003/08/16 15:19:24
ごめん、普通にキモイと思ってしまった・・・

237 :名無し娘。 :2003/08/16 16:06:07
すげー大作だな・・・  単純に楽しめて(・∀・)イイネ!!

238 :名無し娘。 :2003/08/18 00:11:42
羊のトロモニスレから来ました
いや〜大作すげえっす
で、この曲、誰のなんていう曲なんですか?

>>233
ママティハケーン

239 :名無し娘。 :2003/08/18 21:39:44
>>234
わーけっこうでかいですね
でも当然いただくわけで・・・・

240 :名無し娘。 :2003/08/18 21:46:18
こんこんの

ののヲタ発言

で信憑性を増してきましたな

でも辻ってあっさりしてそーで浮気なハニーパイっぽいのよね

241 :名無し娘。 :2003/09/02 02:10:07
もしも〜狩が〜なく〜なぁったなら〜
新板に〜スレを〜たてたでしょう〜♪

ってことでよろしくしますよ

242 :木多娘。 :2003/10/02 03:40:43

うそ、10日って体育の日じゃないの!?(挨拶)

>>235
どもです。でも全然凄くないというか、ヘボさ具合ばかりが凄い感じで
もーにっちもさっちもどうにもブルドッグ、ハァッ!!ってなもんですよ、ええ。
>>236
ありゃ、時間と回線を無駄にさせてしまったようで。ですがキモイのはこのスレの
デフォなんで、そんなこと言われてもリンダ・ブレア困っちゃいますよ。
>>237
容量ばかりがすげー(略 なわけで……でも楽しんでもらえたなら(・∀・)ヨカタ!!
>>238
       ググッ!
   〃ノ_,ハ,_ヽ
   川 ´ v ´从 <「うるとら☆ボーイ」 でググッてみてネ!
.. Σm9o_|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  
   (  |\||.  VINBO  |
      '\,,|==========|

>>239
い、いや、あまり無理なさらない方が!
落としてから後悔しても後の祭りですよ!本当に!マジで!
>>240
あっさり減塩って感じですねえ……
それにしてもハニーパイはいいよ。いいよいいよー
>>241
んー、今現在の全く更新出来てないこんな状況だと、ってのもありますしねぇ……
とりあえず、もう少してきとーにだらだらしてようかなーとか……

243 :木多娘。 :2003/10/02 03:41:35

あ、あとお暇な方は
http://kitamusu.s28.xrea.com/swf/korokorori.html
こんなんとかどーぞ。

それではまたー

244 :名無し娘。 :2003/10/03 00:39:24
>>243
すごく(・∀・)イイ
俺のケツにも蟲がいるかもしれませんが(w

245 :名無し娘。 :2003/11/05 04:28:46
ほぜん

このスレ狩狩に移転依頼してよろしいでしょうか?
カリト、ウンメイヲトモニシテホシクナインデス・゚・(ノД`)

246 :木多娘。 :2003/11/09 21:37:56

>>244
どもですd。
蟲のことはナウシカの姐さんあたりに頼むといいかもしれません。

>>245
えと、なんで移転してないかというと、別に狩狩の管理人さんの名前が
4とか9とか足して13とかで縁起が悪かったからとかそーゆー理由では決してなくてですね、
今現在カナーリ忙しくて滅多に更新できない状態(むしろいつものことですが)
ってことからなんですよー。
仮に移転したとしても今の状態だと最初の一ヶ月でdat落ちになっちゃいそうな
気がしますしねぇ(w

あ、念のために言っておきますが狩狩でやることに抵抗とかは全くないです。
やっぱり今の時間の無い状態だと……ってのが大きいですね。
あとまあ、ここは元々自分専用ボツネタうpスレみたいな感じもあるんで、
こんなクソスレを新しいとこに持ち込むのもちょっと悪い気がするんですよ(w

247 :木多娘。 :2003/11/09 21:39:00

レスだけってのもアレなんで……

今日のボツflash。
http://kitamusu.s28.xrea.com/swf/gogirl_botsu.html

中途半端もいいとこですねー……
それではまたー

248 :名無し娘。 :2003/11/09 23:29:15
>>246
更新状況なんていまのままでもいいんだけど
いつかくるかも ってのさえ無くなってしまうのは悲しいのです・・・

ここ駄目になってもどこでやるか告げてくらさいね・・・

249 :名無し娘。 :2003/12/06 15:59:16
そろそろ保全でもしとくか。
狩狩移ったときの保全の練習〜。

250 :名無し娘。 :2003/12/08 16:57:05
すごい忙しいみたいだよね
倒れないでね

251 :名無し娘。 :2003/12/31 01:18:13
今年1年ありがとう

252 :名無し娘。 :2004/01/01 07:20:13
今年もよろぴこ

253 :名無し娘。 :2004/01/09 14:08:12
ののたんが卒業なんてなー・・・

254 :名無し娘。 :2004/02/01 01:41:10
ww.konkon.mydns.jp/load/t-img/konkon0739.mpg

255 :名無し娘。 :2004/02/01 01:41:26
www.konkon.mydns.jp/load/t-img/konkon0739.mpg

256 :名無し娘。 :2004/02/04 22:36:38
http://mediaforce-gp01.ath.cx/2gmaria/source/file0023.mpg

257 :名無し娘。 :2004/02/04 22:37:54
http://mediaforce-gp01.ath.cx/2gmaria/uploader/source/file0024.mpg

258 :名無し娘。 :2004/02/04 22:38:41
http://mediaforce-gp01.ath.cx/2gmaria/uploader/source/file0023.mpg

259 :名無し娘。 :2004/03/01 09:18:18
ぽ〜

260 :名無し娘。 :2004/03/24 09:21:51
ほ〜

261 :名無し娘。 :2004/04/18 19:50:06

262 :名無し娘。 :2004/05/16 03:55:03

263 :名無し娘。 :2004/06/20 14:56:42
( `.∀´)

264 :名無し娘。 :2004/07/19 16:11:09
 oノハヽo

 从*・ 。.・) <ほ

265 :名無し娘。 :2004/09/27 19:18:44

|ノハヽo∈
|´D`)<ほ
|  )
| 、_)__

266 :木多娘。 :2004/11/14 19:21:30

えーっと前のスレに書き込んだのは……あー1週間前か。        ……一年前の。
ほんとアフォかと……っていうかこのスレ立って3年かよ!あああもう何がなんだか!

もう見てる人居ないだろうけどレスしときますね。

>>248
更新状況が今のままだったら先に娘。が解散してしまいそうです(´・ω・`)
いつかくるかも……ってのを期待したい。自分に。
あと最近は狼に居ることが多いです。テヘッ

>>249
すっかり狩狩に移るタイミング逃シチッタ! ノ(>∀・)

>>250
どもです。最近やっと時間に余裕が出てきたかも……でも転勤 OTL

>>251
いやー、こちらこそ……もう昨年ですけど

>>252
よろぴこ! あと一ヶ月半くらいだけど……

>>253
ねえ……恥ずかしながらWのアルバムとか買っちゃったんですけどね。
今も聴いてるよいいよいいよー

>>259-265
・゚・(ノД`)・゚・アリガd


えーと……今日のボツスレ……
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1100363580/

飲んだ勢いで立てたはいいけど10スレ行かずにネタ切れするパターン(´・ω・`)


HDDの中の中途半端な作りかけflashとか話とかいつか完成させたいなー

267 :名無し娘。 :2004/11/14 22:17:34
|∀・) ニヤニヤ

268 :名無し娘。 :2004/11/15 23:55:16
このスレが立ってからもうすぐ3年になろうとしておりますが
ずっとかちゅ〜しゃのお気に入りに入れ続けています
先生もお元気で何よりですね
今(?)のも好きですけど、昔読んだ飯田と辻の侍の話が好きでした
3年後くらいに今の話が完結したら続編読んでみたいです

269 :名無し娘。 :2004/11/16 14:05:47
またネタとかフラッシュとか見たいな

270 :名無し娘。 :2004/11/16 17:15:51
>>266
ぐはあもう落ちてるよう

271 :木多娘。 :2004/11/20 00:00:36

>>267
ニヤニヤサレテル━━━━━(;゚∀゚)━━━━━!!

>>268
さ、3年後に完結してるといいですよネ!
ちなみに先生は取材のため次回はお休みだそうです。困った。
つか今「こまった」で変換したら(´-ω-`)になった。
どんどん使っていこうと思います。

>>269
たまに新しいネタとか思いつくんですが、AA使ってやりたいなーとか
でもAAのズレ直しってすんごい大変だよなーとか
じゃあflashでやればいんじゃね?とか
でもそしたら音もつけなきゃ寂しいしーとか
考えてるうちに時間だけが進んでいく今日この頃ですよ。みなさんいかがお過ごしでしょう。

>>270
ねんがんの 10レスうちきりを たっせいしたぞ!

    :そう かんけいないね

    :殺してでも うばいとる

 → :ロケットで つきぬけろ!


272 :木多娘。 :2004/11/20 00:01:44
レスだけっつのもさみしーんで狼に貼ったAAでもはっつけときますね。

 もしもミキティがエースコンバット5のケイ・ナガセだったら


~⌒^Y^⌒⌒⌒ヽ
从oO○o从从从从
   ..M
  . M
  . M
   M
   M    @ノハヾヽ  ※@ハヾヽ   ※@ノハヾヽ           ,ノノハヽ
   M    ,从;o・-・)  ∬;´▽`)  从*´D`)           川リ V) <……落ちません
   M    ∪=●-●  ,∪=●-●   /つ・ とノ           と ・ ・ っ
   M     ノノハヾヾゝ  ノノハヾヾゝ   ノミ●-●ゝ          ノミ●-●ゝ ズルッ
,... ,.M,...,...,.  ∪ ∪    ∪ ∪     ∪ ∪             ,し'''∪
 ^~ ´´~ `^~^~^~~~~~~~~~^`´ ´``´~^~^~^~~´ ´~ ^^ ^^~^~~~~~~^`´` ` `′

273 :木多娘。 :2004/11/20 00:02:14

                     。o0(……なにを? )
前も後ろも     ノノノハヽノノハヽ
私が守るから…>川リ V)(D`;从
            / ;;;;;y;;)っy'~ ヽ
            ヽヽ ノ .ヽ,,,,と/
            ノノ'ヽニつ))~_ゝモソモソ
            / _ノ|.|,/ ノ'~〈
           .し' ,(_)__/ ヽJ

274 :木多娘。 :2004/11/20 00:02:38

(……なにを?)
       O                       λ
        o                     (0)
         ゚      ピシャッ!!         | |   ピシャッ!!
         ハァハァ…                (iξ
        .   ノノノハヽ  ///  ノノノハヽ/  /))\\
            (`▽´;∬  | | |  (VoV;从./    | | |
            (=====)   \\  (⌒二つ      //
           __ (⌒(⌒ ) .   ==-  )__|
         /\ ̄ ̄し' ̄ ̄ ̄\  (\,,イ
          ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄  /_/ |_|
                 | |       /__/ |__| ...
               / \      (_) (_)
                 _____∧__________
                  頑張れ!頑張れチョッパァーーー!!

275 :木多娘。 :2004/11/20 00:02:59

/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| だぁれがオヤジキラーなんですかぁ〜! |
\                       ノ
   ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |   ヘキサゴン!!       | |       へっ、虫も殺しませ〜んってツラしてるで…
 | |               | |        ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | | ノノノハヽ   ノノノハヽ | |          @ノハ@
 | |リ*VvV)っ ,(・-・o;川 .| |       ~~-y(‘д‘ )
 | |                | |          ヽ    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

276 :木多娘。 :2004/11/20 00:03:44
だめだこりゃー

277 :名無し娘。 :2004/11/20 14:30:51
次いってみよ〜

278 :名無し娘。 :2004/11/21 16:37:56
あ〜久しぶり俺もいつの間にか狼しか行かなくなったよ

279 :名無し娘。 :2004/11/30 11:24:49
弊社製品のご紹介ありがとうございます

280 :名無し娘。 :2004/12/29 21:50:38
来年こそは

281 :名無し娘。 :2005/01/03 13:12:39
明けましておめでとうございます
今年こそ先生の新作が読めるよう楽しみにお待ちしております

282 :名無し娘。 :2005/02/27 08:22:04
( `D´)y-~~<あせったら負け組

283 :名無し娘。 :2005/04/09 22:53:09
ののみ〜

284 :名無し娘。 :2005/06/03 00:13:17
落ちないのがすごいよね

285 :名無し娘。 :2005/06/29 01:19:15
先生お元気にされてるでしょうか
木多康昭が3年ぶりにヤンマガで復帰したそうなので
先生にもそろそろ更新してほしいと願っております

286 :名無し娘。 :2005/07/28 01:01:42
ミンナマテルヨ

287 :名無し娘。 :2005/08/23 15:34:22
( ´D`)<私〜待つわ〜♪

288 :名無し娘。 :2005/10/05 23:40:52
先生はこのスレのこと覚えているのかな

289 :名無し娘。 :2006/01/13 18:45:33
待ってることも忘れてた

290 :名無し娘。 :2006/02/10 01:49:36
忘れません

291 :名無し娘。 :2006/05/16 23:51:02
最終更新から三年近くが過ぎた今でも、とある場所で先生のスレの話題がちらりと出ています
我々はいつまでも待ち続けますのでお元気でいて下さい

292 :名無し娘。 :2006/09/18 09:03:35
忘れた頃に来るとみた


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